代償
「支配人…お電話です。」
「なんだ?息子から?どうした…何っ!?エミリーが!!」
一体どうしたんだ…。
朝起きて、支配人にここらへんの観光情報を聞いて
出かけようと思ったところ、
フロントに足を運んだら支配人の大きな声が響いていた。
何があったのか、見てみるとするか。
『星辰の輝きよりも遠い闇の深淵に、幽玄なる時空が漂う。我は深淵に身を投じ、遥か未来の幻影を捉えんとする。螺旋状に巡る時間の糸を手繰り、その先に広がる未来の姿を見定めん。光と影が交錯するその瞬間、我が瞳に未来の幻影が映し出される。魔術の極みに到達し、運命の糸に干渉する デスティニー』
俺の周りを白い雲が包む。
この雲が支配人にこのあと起きる未来を見せてくれる。…これは葬式?泣いてるな。対象は…お孫さん?
つまり、お孫さんが何かの時間に巻き込まれたってことか?
このホテルを拠点にすれば、NYに来やすくなるか…。
ちょっと手助けしてやるかな。
俺は悠々とフロントに近づいた。
泣き崩れている支配人に悪魔のように囁いた。
「大丈夫ですか?」
俺の声に即座に向き直る支配人。
そして、明らかに期待に溢れた表情を浮かべている。
さて…何を代償にしてもらおうか…。
「少し…場所を移しましょうか。、」




