支配人の想い
「…先程の光景は何だったのだろうか…。」
冴島様のお誘いに従い、ルームサービスをお持ちした。その時に冴島様が夢のような体験をさせて頂けると仰っていた。
不意にテラスに出られた冴島様が深呼吸をされると
体の周りに白く光り輝くオーラのようなものが漂い始めた。
その時点で私は声を失っていた。
冴島は特殊な能力を持たれているのだろうか…と。
その時、冴島様が何か呟かれた。
すると私たちの前に白く光り輝く結晶が生成された。
その結晶は雲まで上昇すると砕け散り空全体を優しく白い光で包みこんだ。
まるで神の降臨を目の当たりにしているようだった。
その光が消えると雲も消え去り、美しい星空が現れた。
冴島様は少年のような笑顔でこちらに振り向き、
夢を見れたかと尋ねられた。
私は自分の中で憶測が確実のものとなった…。
この方は神の使徒なんだと。
そうでもなければあのような神の御業が使えるわけがない。
私は敬虔なキリスト教徒だ。
あの方はイエスキリストではないが、
神の使徒様であることは間違いないだろう。
ならば、こちらに滞在いただいている間、
満足できるサービスを提供することが私の役目。
とりあえずまずは今日中に1週間の観光スケジュールをお作りしなければ。
明日、冴島様が喜んでいただければ、もしかしたら御業をお見せいただけるかもしれない…
間違った憶測が変な方向に彼の存在を決めつけてしまった。あながち間違っていないのも不思議なことだが、この考えが彼の今後を大きく変えていく。




