海自潜水艦(会話形式)6
部下1: 「水上艦のやつらはいいよな。晴れ上がった日には甲板上で胸いっぱいに潮風をすいこめるんだから。」
部下2: 「そうそう、それに寄港先では結構丘で楽しめたりするからな。お目当ての女がみんないるらしいぜ。」
部下1: 「潜水艦乗りは船乗りというより炭坑夫みたいなもんだ。めったにおてんとう様なんかおがめねーし、しかも死ぬときは溺死というより窒息死だしな。」
部下1: 「おれそろそろワッチの時間だから、食堂でその前に飯食ってくらぁ。」
艦長: 「航海長、48時間後に出航する。急いで準備を進めてくれ。」
航海長: 「しかし艦長、今日は三つ星重工の重役の家族の見学者が多数予定されておりますが……。」
艦長: 「中止だ。魚雷搭載、燃料搭載を急げ。それと可能な限り徹底した整備作業をやっておけ。長期航海になるかもしれん。補給艦なしでだ。」
航海長: 「当直だけでなく、幹部はすぐに帰艦し各課の作業を指揮しろ。」
部下1: 「艦長、ひとつ質問してよろしいですか。」
艦長: 「なんだ。」
部下1: 「訓練魚雷は何本搭載すればよろしいですか。」
艦長: 「すべて実装魚雷。すでに搭載されている訓練魚雷はすべて1000ポンド弾頭の有線誘導魚雷に換装しろ。」
部下2: 「少し沈み気味ですね。ディーゼル航走でかなり燃料を消費しました。」
部下3: 「この2時間で消費したディーゼル油の量は?」
部下2: 「5キロリットルです。」
部下1: 「潜舵手、指令深度の維持は?」
潜舵手: 「かろうじてプラスマイナス30センチです。しかしこれ以上重量が増すか速力を落とすと厳しいです。」
部下2: 「燃料タンクの海水流入分で約4トンほど重量が増えています。」
艦長: 「油圧手、トリムを再調整しろ。」
油圧手: 「了解。」
艦長: 「前部トリムタンクブロー。」
部下3: 「ネガティブタンクブロー。」
部下2: 「艦長、ブロー音を探知されるかもしれません。」
艦長: 「やむを得ん。これ以上速力を上げることもできん。この機会に満水の汚水タンクも排水しておけ。」