離陸前チェック(F16戦闘機)
エンジンがセカンダリモードでも正しく応答するか確認するため、右手でENG CONTスイッチをSECに入れる。ここでのミスは命取りだ。各計器の数値が異常なく安定していることを一つ一つ確認する。
「次はSECチェックだ」と呟きながら、MAL & IND LTSテストボタンを押し続ける。すると、前方パネルの各種ライトが点灯し、異常がないことを知らせてくれる。ENG FIREとOVERHEAT警告灯が正しく点灯しているかを確認し、問題がないことを確認した。
続いて、FIRE & OHEAT DETECTテストボタンを押す。炎と過熱の検出システムが正常に機能していることを確認し終えると、OFFにしておいた。
次のチェックに移るため、TEST位置にスイッチを入れ、PROBE HEAT警告灯が点滅するのを確認する。これは、空気の温度センサーが正常に作動していることを示している。問題がなければ、再びPROBE HEATをONにして、警告灯が点灯しないことを確認する。
エンジンの調整を確認するために、SEC警告灯が消え、NOZ POSが94%以上開いていることをチェックする。この時点で、エンジンが適切に機能していることを確認できた。ENG CONTスイッチをPRIに戻し、ガードを下げて、エンジンの制御が通常モードに戻ったことを確認する。
次に、NOZ POSを確認し、それが10%以下であることを確認する。エンジンの推力調整が正常であることを示している。続けて、スロットルをミリタリー(アフターバーナー無しの最大推力)へと動かし、RPMの安定を確認する。RPMが85%に達したら、直ちにIDLEに戻す。
ここまでのチェックが完了したら、スクランブル発進の準備が整ったことを実感する。SECチェック中にスロットルを操作する必要があるため、車輪止めを設置しておく。「ホイールチョーク、ヨシ!」と、無線で地上クルーに指示を出すと、視界の隅にいる整備士が迅速に動いているのが見えた。
右手のスロットルレバーを握りしめ、その周囲に配置された計器やスイッチを一瞥する。データリンク(DL)のスイッチがオンになり、緑色のランプが淡く光っているのを確認した。このシステムを通じて、敵機の動きや味方機の位置情報が瞬時にコックピットへと伝わってくる。パイロットはこの重要な装備を信頼していた。
続いて、酸素供給システムのバルブを確認する。緑色の酸素供給バルブは、供給率を示すダイヤルとともに機体の下部に配置されており、必要に応じて調整が可能だ。このバルブが正常に機能していることを確認し、呼吸器に異常がないことを確かめる。
右側のコンソールには、エンジン始動システムが整然と並んでいる。「START 1」と記されたスイッチに目を向け、エンジンが完全に始動しているかを確認する。その隣には、電子戦装置(ECM)のスイッチがあり、今回は使用しないためオフにしている。
コックピットの中央に視線を移すと、多機能ディスプレイ(MFD)があり、これからの飛行計画やナビゲーション情報が表示される。「UFC」と呼ばれるアップ・フロント・コントローラーのスイッチ群もあり、これらを操作することで詳細なデータを調整することができる。スイッチをオンにすると、画面に文字やシンボルが浮かび上がり、機体の現在位置や飛行経路がリアルタイムで更新される。
右側のディスプレイには、機体の各種状況を示す計器が並んでいる。燃料流量計は「FUEL FLOW」と表示され、燃料が正確に供給されていることを確認できる。隣の「RPM」の計器は、エンジン回転数を示しており、針が微妙に揺れているのが見える。これはエンジンが正常に稼働している証拠だ。
さらに、ノズル開度を示す「NOZ POS」の計器にも目を向ける。針は安定しており、エンジンの推力が確実に機体に伝わっていることを示している。計器盤の上部には、燃料供給の調整ダイヤルがあり、「ENG FEED」と書かれている。これを操作することで、燃料の供給量を細かく調整できる。
エンジン始動の準備が整ったら、パイロットは左側の計器群を再確認する。こちらにはモジュラー・ミッション・コンピューター(MMC)のスイッチがあり、これをオンにすると、機体の全システムが稼働を開始する。隣には、航法システムのスイッチもあり、これらを調整することで飛行経路や目的地を設定できる。
視線を上に移すと、エンジンの状態を監視するためのパネルが見える。プローブヒーターのスイッチがあり、これをオンにすると、計器が温度を示す目盛りを少し上げる。隣にはエンジン回転数を調整するためのスロットルがあり、緊急時にはこのスロットルで即座にエンジンを停止できる。