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エアホースワン②

大統領は後部座席で、防諜システムに守られた特殊な通信システムの受話器を耳に当て、静かにうなずきながら話を聞いていた。左手で濃いブルーのネクタイを少し緩め、緊張を解こうとする仕草をしつつ、ときおり視線を隣の主席補佐官に向ける。補佐官もまた左耳に装着したイヤホンに片手を当て、鋭い視線で前方を睨んでいる。だが、その目が捉えているのは視界の風景ではなく、大統領が耳にしている会話の内容だった。


補佐官のイヤホンには、大統領の送話内容がそのまま流れてきている。彼は膝の上に開いた大きめの手帳に右手でペンを走らせ、要点をメモしている。眉間の深い皺と彫りの深い目の下の影が、ホワイトハウスでの激務と積み重ねた苦悩の痕跡を示していた。広い額と後退した髪の生え際が、長年の緊張と知性の証を物語っている。


ときおり膝の上に置いた眼鏡を手に取り、自らの書いたメモを確認する様子がある。ホワイトハウスの過酷な職務は、彼の髪だけでなく視力さえも限界まで酷使していた。彼の外見は実年齢よりもずっと老けて見えるが、今はそんなことに構っていられる余裕などない。四六時中、120%の集中力を維持し続けなければ、合衆国大統領を支え抜くことは不可能なのだ。


センターコンソールには無骨なペットボトルのミネラルウォーターが置かれている。補佐官は時折それを手に取り、乾いた喉を潤しながらも、大統領の一言一句を逃さず監視していた。シート中央に埋め込まれたオーク材の仕切り板には、アメリカの象徴であるワシのマークが刻まれ、このリムジンが合衆国大統領の専用車であることを示している。国内でこのマークに匹敵する威厳を持つものはない。


補佐官の視線は、防弾ガラス越しに見える街路樹の影に一瞬向かうが、その目は外の風景を捉えているわけではない。視覚情報は彼の脳内には届かず、全神経は耳に集中していた。いらついた様子で、右手に持ったボールペンのノック部分をカチカチと無意識に押し続け、ペン先が出たり引っ込んだりを繰り返す。必要な時にペン先が出ておらず、焦ってノックすると、彼は小さく舌打ちをしながらペンを走らせた。


大統領と主席補佐官はそれぞれ異なる相手と話をしているように見えて、実は同じ人物との会話に応じている。シートのセンターコンソールを挟み、大統領が右側、主席補佐官が左側。合衆国の二つの卓越した頭脳が、この狭い専用車の後部シートで高速回転しながら、国家の命運を担う会話を続けている。このやり取りは、彼ら二人以外には知り得ない、極秘の作戦であった。

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