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迫撃砲

白煙が立ち上った。1,000メートル先の建物の屋上からだ。パラボラアンテナがバタバタと倒れ、瓦礫が砕け散る。白煙の大きさから察するに、撃ち込まれたのはRPGではなく、もっと威力のある重迫撃砲か150ミリ級の榴弾砲だろう。標的になっているのは5階建てのコンクリートむき出しの建物。全ての窓からガラスが消え、空虚な目のように外界を見下ろしている。その無機質な空間は、長引く市街戦の激しさを物語っていた。


壁は砲弾や銃弾の痕だらけだ。深い亀裂が無数に走り、倒壊寸前に見える建物がいくつも立ち並んでいる。この国に建築基準などという概念があろうはずもなく、仮にあったとしても、それを守る者などいない。規制のないまま野放図に建てられたこれらの建物には、無秩序に増築が施されている。それにもかかわらず、意外とその構造は堅牢だ。窓と窓の間、各階と各階の間には柱と梁が2メートル以上の厚みで格子状に組まれているため、外観こそ殺風景で無骨だが、強度はある程度保たれているようだった。


空は鈍い灰色、屋上にはメディアの衛星中継用アンテナ、軍の通信アンテナ、そして元の住人たちが残したテレビアンテナなどがごちゃごちゃと立ち並び、まるで針山のように突き出ている。灰色と黄土色のまだら模様を纏ったこのアパート群は、今や包囲する政府軍の格好の砲撃の的と化していた。


建物群はやや小高い台地状の上にあり、手前には視界を遮るものが何もない。弾着観測員にとっては絶好の位置だ。彼らは難なく着弾を観測し、その修正を砲兵部隊にフィードバックしているのだろう。反政府軍の陣地は、打たれ続けるボクサーのように、無慈悲に砲撃を浴び、あざだらけになりながらも、今なお倒れずに台地に根を張り、驚くほどの耐久力で立ち続けていた。


ふと、中央のやや低層の建物の1階付近に砲弾が直撃した。瞬間的にオレンジ色の閃光が走り、次いで真っ白な煙が立ち上り、炎の残骸がゆっくりと広がっていく。灼熱の砂漠の町に立つ廃墟と化した建物は、まるで挑戦者ボクサーが苦し紛れにガードを固め、必死に耐え忍ぶ姿を彷彿とさせる。

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