空中給油(F16ファイティングファルコン)
静寂を突き抜けるように、ジョン・マシューズは星が瞬く広大な夜空を一人静かに飛行している。前方に巨大なKC-135が見えてきた。
ジョンにとって空中給油はまるで天空でのダンスのようなものだ。KC-135は彼のパートナーであり、息を合わせて踊る。ジョンはこの一瞬のために、数え切れないほどの訓練を重ねてきた。
「ジョン、今日のミッションは放射オプション2で行う。これは、無線を最小限にするということだ。無駄な会話は避けて、必要な時だけ話すんだ」とブリーフィングで言われた重要事項だった。無線封鎖は実戦では必要なオプションだった。
KC-135のクルーたちも同じようにこのルールに従っていた。無線は互いに正確な位置を把握し、タイミングを合わせるためには欠かせない。しかし、今日は視覚と直感だけに頼ることが求められている。
ジョンは操縦桿を握りしめ、目の前に広がる夜空に意識を集中させた。遠くの点滅する光、それが彼のパートナーであるKC-135だ。彼は短距離無線で簡潔に「レノ01、15分前。」と伝えた。「了解、レノ01。高度はそのまま30,000フィートで。ETA変更なし。」と返ってくる。
ジョンは深呼吸をし、計器を再確認した。速度は310ノット、高度は30,000フィート。これは、彼らの「空中ダンス」のスタンダードな条件だ。今日の天候は晴れ、視界は良好だ。これなら給油操作もスムーズに行えるだろう。
彼はKC-135との距離を詰めていく。徐々に近づくその姿は、夜空に浮かぶ静かな巨人のようだ。ジョンはその姿をしっかりと捉え、視覚的にも電子的にも接触を保ちながら、定位置に移動していく。
「放射オプション2の規則通り、無駄な通信は控えるべきだ」と心の中で呟くジョン。彼の注意は、ひたすら前方のKC-135に向けられていた。彼は、給油機と同じ高さに並び、相手のペースに合わせて滑らかに移動した。
彼は給油機のブームが徐々に近づいてくるのを見た。ブームオペレーターが、「ジョン、燃料補給を始める。ブームを通じて有線会話に移行」と短距離無線で伝えてきた。彼は、ブームが自分の機体に接続される瞬間を、呼吸を整えながら待っていた。
「よし、今だ!」と心の中で叫びながら、彼は給油のポジションに入った。KC-135のブームが自分のF-16に接続されるのを感じその瞬間、燃料がジョンの機体に流れ込み始めた。
彼は周囲の状況を絶えず監視していた。もし何かが上手くいかなかったら、すぐに離脱しなければならない。だが、今夜は運が良い。燃料補給は順調に進み、やがてジョンのF-16は満タンになった。
「補給完了、ありがとう、ブームオペレーター」とジョンは有線で感謝を伝えた。ブームがゆっくりと機体から離れていった




