HAPPY・DAY
kasi by mimi
peach様へ1
『独り』
折れた翼では飛び立てず
ただ地面を彷徨う哀れな天使
見上げた空はまだ遠く
地面についた手は冷たく
神が下した罰と
繋がれた鎖をほどいて
恨めしげに見上げた空と
首についた堕天使の証と
耳元で聞こえた悪魔のささやき
裏切ったあなたの影と
赤く染まった道でさえ
今は私を急かすだけ
耳元で囁く魅惑の呪文
消えて失せたあの日の欠片
黒く塗りつぶした天使の絵も
今は何も見たくないの
壊して 揺らして
全て塗りつぶして
今はもう誰にも
この声を聞いて欲しくない
触れて 消えて
どこまでも行けたら
この場所すら忘れる
儚く遠い場所へ
手をさしのべたもの
それは天使か悪魔か
2
『下界』
歩き疲れた天使
空を見上げて
羽を広げることもできず
涙堪えて
満月の夜
せめて近づきたい
屋根に登っては
また涙堪えて
行き交う人の波
彷徨った旅の後
いつも思い出すのはあの人の笑顔
でももう会えないあの人の笑顔
飛び交う鳥の声
考えたその先に
何があるというのでしょうか
何を知れと言うのでしょうか
もう誰にも私を
見て欲しくないの
羽の折れた天使
錆び付いた鎖
もう誰にも私を
知って欲しくないの
焼かれた一枚の写真
もう失っていたの
気づいたのはすべて
この空に溶けた後だった
puroro-gu
あのさ。
君がもしも人を殺して。
刑務所に入って。
何年も、何年もその中にいて。
でも、どれだけがんばってもそこからは出れずに。
待ち続けるしかないとしたら。
君は、いったいどうする?
しょうがないとあきらめて、その中で一生暮らすの?
それとも何とか脱出するの?
もしも君が前者を選んだのなら
君は人を愛してはいけない。
第一章 黒く明るく
その世界は黒く、明るく。
何なのだろうね、この状況は。
気付けば私は
この世界に捨てられていた。
少し、前の話をしよう。
「ねぇ?どうなの?返事は?」
「良いじゃん、無理やりつれてっちゃえば。」
「あははははは。そういう手もあるよねぇ」
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い
うなじに当たる生暖かい息が、私に嫌悪感を生まれさせる。
なんだか
吐きそう、だ。
「こんな時間に出歩く君が悪いんだからねー」
「誰からにしちゃうぅ?」
気付いたら暴力を振るっていたこの手。
人間にはありえないようなすごい速さで、私はこいつらの首を打っていた。
シュッ
「ぁ、あぁぁぁ」
意味が分からず叫ぶ声が、耳障りだ。
それに私は、好きでこんなことをやっているのではない。
まあ、普通の一般人だ。
ただ少し
血が好きなだけで。
そう、ただの一般人。
周りに誰もいないことを確認し、私は首の血に手を当てた。
こういう性格の悪いやつほど、血はおいしい。
何なのだろう、皮肉だ。
きっと私の血も、さぞおいしかろう・・・。
しゃがんだ私の目に、急に蒼い閃光が映った。
あう、眩しい・・・。
油断したか?
いや、しかし。
足音も、衣擦れの音もしなかったような・・・。
薄れる意識。
その中で、私はひたすらにもがいていた。
* * *
そう、そして今だ。
この世界は、黒い。
どこもかしこも
黒く黒く黒く。
蒼い閃光を放った相手は360度、どの角度にもいなかった。
私の身体を見てみても、血を舐めた跡があるだけで、此処につれてこられる間、何もされなかったことは明らかだ。
そう、私はこの世界に置き去りにされた。
水も
食料も
武器だって何もないこの世界に。
ただ、寒くも暑くもないのが唯一の幸運と言ったところだろうか。
しょうがない、少し、歩いてみるか・・・。
「蔓さん、ですよね?」
後ろから、突然声がした。
そう、あの時のように
衣擦れの音も
足音も
何も音を出さずに近づいてきたのだった。
「!?」
「まあ、そう警戒しないで。此処に来たからには、やるべきことを果たしてもらいますよ」
「・・・問いたいことが、二つほどある」
「何でございましょうか?」
「まず一つ目。お前は誰で此処はどこなのか。」
「ほお」
「そして二つ目。」
そこで言葉を切る。
「どうして、死んだ奴らが此処にいる?」
「そうですね・・・答えられないとだけ、言っておきましょうか」
「どうして答えられないのだ?」
「話しても意味がない・・・そう、此処で」
そして、今歩いている道の先を指差す。
「貴方は地獄と人間のすべてを・・・見ることになるのだから。」
「・・・」
何も会話がないまま、歩き続ける。
此処は、どこなのか。
コイツは誰なのか。
そして――――。
どうして此処に死んだやつが歩いているのか。
その真相は、いつ、知ることができるのだろう。
今の私では、コイツにも太刀打ちできないし逃げてもどうにもならないことは目に見えている。
ケープゴート。
私は初めて誰かに操られるということが分かった。
* * *
歩き続けて10分足らずで、黒いオーラに囲まれた大きい建物のようなところに着いた。
最初に思ったように此処には白などという黒以外の色がまったくない。
色があるのは道を歩く人の皮膚の色だけで、服や靴、家なども全部が黒なのだ。
黒、という色は好きだが、こうにもなると、なんだか怖くなってきた。
横にいるこいつがその建物の兵士に何か指示し、門を開けた。
そこには現実ではありえないような長い廊下が続き、その廊下の両端にはメイドが並んでいる。
そしてその向こうにはシンデレラの階段のような長い階段があった。
よく見ると、一番奥に小さい人影が見える。
その人は一人だけ、黒ではない服を着ているのだった。
「あんたが・・・蔓か?」
急にそういわれる。
すると、隣にいたあいつが頭を下げながら
「そうでございます」
と答えた。
小さいところをみると、まだ十代になったばかり位の子だろう。
だが、変にえらそうだ。
「そうか。では、こっちに来い」
指を指され、手招きされる。
まあしょうがないので行くと、いきなり手をつかまれた。
「これからよろしくな、蔓っ♪」
・・・は?
いや、あの、何をいっているのでしょうか、この子は。
「行くぞ、蔓っ♪服を着替えるのだっ♪」
背に似合わない強い力で押されると、もう私にはどうにもできない。
ただ、背中を押されるばかりだった。
* * *
・・・・。
「ほらっ、すごくかわいいぞ!今度はこっちを着てみるのだっ♪」
・・・・いや、あの。
此処で地獄を見るんでしたよね?
なに、この状況は。
「・・・あの」
「ん?何だ?あ、やっぱりこっちのほうが良かったか?」
うるうるの目で聞かれる。
「・・・此処、どこですか」
「はっ?ううーん、あれっ、あ、そうか」
いや、腕組みされてもねぇ
「よし。分かったぞ!では、この服に着替えてその靴はいて、このヘッドドレスを付けたら、食堂で話をしよう」
・・・やっと、話が通じたか?
すると、あの背の小さい子がるんるん歩いていってしまった。
よし、しょうがない、この服をきて、食堂に行こう。
と、私は決心した。
第二章 地獄と天国と
「おっ!やっと来たか!」
・・・はい、来ました。
この靴、すごくヒールが高いんですけど。
歩きにくっ!絶対実用性考えてない!
「よし、座れ」
豪華な椅子に座り、組んだ手の上に顎をのせる。
「よし、では、話そうか」
話の始まりは、世界が始まったときからだった――。
その頃の世界は平和なのか野蛮なのか
よく分からないような世界で。
人は、いざとなれば人を殺し
いつもは動物や木の実を食べ
まあ暮らしていたのだった。
だが、そうやって生活していくと、頭の悪いこの頃の奴らにも疑問が浮かび上がった。
それは
人は、死んだら何処に行くのか
ということ。
どう考えても答えは出てこなかったのだった。
天国と地獄。
それは本当にあり。
だが、設定が少々違ったりする。
天国とは
悪魔・天使・死神・ビーナス・天照大神など
そういう特別なもの・・・天国や地獄を仕切ったりこの世の中をちゃんと動かせたりする任務の人たちがいるところだ。
地獄
それは
普通の死んだ人々が
次に生まれ変わるのを待つ場所。
今私たちがいるのは
地獄――――。
* * *
「でねっ、蔓に用があるから此処によんだの」
・・・用って、何なのでしょうか。
「それはねっ」
すると、その子はコンパクトのようなものを取り出した。
「なんなんですか、これは」
「これはねっ、天国の様子が見れるコンパクトなの!ちょっと見てみて、蔓☆」
はい、わかりました。
数回うなずきコンパクトを受け取ると、そこにはとても綺麗な女の人が映った。
「この人はね、ビーナス。美の女神」
その横に、かわいい女の子が数人並んでいる。
「この子たちは天使だよっ!ビーナスとかそういうすごい人たちをお世話するための雇われた子。」
よーく見てみれば周りにいっぱい人がいて、何やら会議をしているようにも見える。
「今この人たちが話しているのは、地球を破滅させちゃおうってこと。それを阻止するために、そう」
そして私を指さした。
「蔓ちゃん、君を呼んだのだ!!」
・・・へ?私を?
「あたしの名前を紹介していなかったな。あたしの名前はアラカ!地獄の番人とはあたしのことだ!で、その横にいるじいやはあたしの執事。蔓ちゃんも「じいや」って呼んでいいぞ!何しろこれからは蔓ちゃんも此処にすむんだからな!」
いえあの・・・どういうこと?
「蔓。お願いがある」
勢いでいろいろ言われたあと、アラカはこうつづけた。
「天国へ天使として行き、地球を守ってくれ」
* * *
by 神
地球は水があり、地があり、光がある。
神もまた、この地に魅せられた一人だった。
神の中の神、というものか、そいつもその一人で。
毎日毎日その様子を観察していたものだ。
時には地球に降り、楽しんだこともある。
‘地球には哀しみがあり、喜びもある。苦しみも、楽しみもある。それが、良いと思わないか?‘
その神は、ある日妻としていたビーナスを失った。
そのとき、言ったのだ。
「私は悲しいのに、泣くことができない。というか、これが悲しいという感情なのか?自分も死にたいというこの気持ち。嗚呼、だれか助けてくれ!救ってくれ!私を自分という闇から引き出してくれ!」
その神はまた、次の日命をたった。
その孫、「カザラ」も地球にあこがれていた。
苦しみはトライアングルのように。
ぐるぐると
回っていくのだ。
* * *
by アラカ
「私は、神を憎む。」
どうして?
そう問われれば、いつも答える。
「あんな奴らに、地球を壊す権利なんてない」
そりゃあそうだ。
何世代も前から地球という星はこの世にあり続け、自分で作ったやつなどいるわけもないのだから。
なのにあいつらは壊す壊さないの議論を延々と続けている。
ばっかみたい!!
そう、言ってくれれば。
蔓は、その役目を持っているのだ。
神をとめ、美しい地球を壊さないために。
神は、馬鹿だ。
はっきりいって、人間よりも。
きっと地球を壊せばまた新しい星を作り、また壊し・・・とずっと続けることになるのだろう。
無意味、そう無意味だ。
だからこそ、私は神を憎む。
そして私がエデンの林檎を喰らい、永遠の命を手にするのだ。
* * *
「今日からカザラ様のお世話係を勤めさせていただくことになりました、蔓です。どうぞよろしくお願いします」
そして、頭をさげる。
蔓は人に敬語など使うことは珍しく・・・苦手であった。
アラカには、自然に敬語を使っていたが。
「ああ、君が。よろしくね、蔓さん」
にこやかな笑顔。
金髪の髪。
これが「神」かと蔓は自然に緊張する。
―――まずは、神に心を許させるのだ。そして、近寄る。そうすればあっちの手はこっちのものだっ
アラカの声がよみがえる。
「じゃあ、まずはそこの花を整えてくれるかな?僕、少し見た目重視でね。意外だろう?」
自然な会話。
心は・・・許されているのだろうか。
とくん、とくん
今まで感じなかったこの気持ちに
少し、戸惑った。
* * *
神に付くようになってから十日が経った。
なぜ?
この気持ちは。
感じてはいけないはずなのに。
感じたことなんて、ないはずなのに。
私は 恋をしていると
貴方に・・・
恋、していると。
私は地獄の側の人間であり、貴方の天使でもある。
なのに・・・なのに。
私は、貴方を裏切ってしまいます。
「蔓、さん?」
その声で、目が覚めた。
そこには同僚の姿。
たしか・・・名前は
「ナルカ・・・ですけど?」
そう、ナルカ・・・だ。
「どうしました?貴方は私の仕事仲間であり友達でもあります人間というのは心の支えがないと生きていけないと私は教えられたので私は貴方の友達としてこの天国で生きていますなので何か悩みごとでもあれば言ってくださいね」
すごいロング台詞を話す、良く分からないヤツ。
でも・・・今、とんでもないことを言ったような。
「今、なんと言った!?」
「何処のくだりから話しましょうか?私は話したことを瞬時に記憶する機能を持っているので一年前の会話でも一秒以内に思い出せます」
「・・・分からないから全部言ってくれ」
「了解です。えーっと《どうしました?貴方は私の仕事仲間であり友達でもあります人間というのは心の支えがないと生きていけないと私は教えられたので私は貴方の友達としてこの天国で生きていますなので何か悩みごとでもあれば言ってくださいね》と私は先ほど話し・・・」
「どうして知っている!!」
「私は何でも分かる天使様ですよ?たとえば貴方がカザラ様に恋心、というものを抱いていることも知っていますし、地獄からの使者であることも全部分かっています」
・・・どういうことなのだ
なぜ・・・
ナルカは知っている?
「大丈夫。先ほど申しましたとおり、貴方は私の友達でもあります。私のブレーカーが落ちるか誰かに脳内中枢を抜き取られない限り、この記憶は誰の目の前にもさらされませんので」
その瞬間を黒い人影が見ていた・・・。
というのはいつもの展開で面白くないが・・・。
この瞬間を、黒い人影が見ていた――――。
* * *
昨日、熱が出た。
39.8度にもわたる高熱。
本当は私はカザラに使える天使なのに昨日まではカザラに世話をかけていた。
しかし、そのとき。
私はとんでもないことを話していたようだった。
そして、とんでもないことが、この天国の中で起きていた。
* * *
「カザラ・・・私は、私は貴方のことが・・・」
寝言。で。
言っていたと。
そう、言っていたのだと。
カザラは―――――知ってしまった。
そして、地獄の使者だということも。
しかしカザラは、私の想いを受け止めてくれた。
裏切る事を知っているのに
どうしてなのか。
そんなこと問われても、こっちが聞き返したい。
が―――――。
それが、この中だけで行われるのなら良かった。
それなのに、それなのに。
私が、地獄の使者だということ
カザラが好きなのだということ
そして 本当は人間なのだということを
どこかのヤツが新聞に書きたてた。
そして 私は追い出された。
この、天国と地獄の世界から。
第三章 この世界で貴方だけを
ありがとう。
この言葉を、貴方にできるだけ贈ろう。
裏切り者と分かっていてどうして自分を受け入れたのか
その事実は分からないけれど。
きっと私は
前と同じように人間の世界で前と同じように血を欲し
生きていく。精一杯、生きていく。
だけどこの世で貴方だけを愛していると
ずっと、地獄で思っていてください。
そして輪廻転生が本当にあったのなら。
来世でまた、貴方を愛しましょう。
ありがとう。
貴方と私のつかの間のHAPPY・DAYS。
この私の未来もHAPPY・DAYSでありますように。
完




