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真田零斗と忍法裁判  作者: 本田ジョウ
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「訴訟弁護士と忍法」第ニ話

▼ 美咲の夫の死


山本美咲は、肺がんで亡くなった患者である夫の遺族である。夫の山本大樹(たいき)が何度も医療機関を受診していたにもかかわらず、がんが見落とされ、適切な治療を受けられなかったと考えていた。


夫が勤めていたのは、自動車部品メーカーの工場で、長時間労働や過重な仕事量が日常茶飯事であった。夫自身は、真面目に仕事に取り組み、職場でのトラブルやクレームなどは起こしていなかったものの、長時間労働や過重な仕事量によってストレスを感じていた。

美咲は、この優しくて聡明な男性が好きだった。彼女の夫は、若いころには喫煙者だったものの、家族の勧めで禁煙を決意し、その後は健康的な生活を送っていた。


しかし、夫である大樹には、ある日、咳が出るようになり、病院で検査することにした。検査の結果、肺に影が見つかったが、担当医師は、気質性肺炎などと診断していた。肺に影が見つかってから、約5年半にわたり通院していたが、この担当医師は、肺がんであることを示唆してくれなかった。夫は、その後、別の病院で肺がんの末期と診断された後に死亡した。


夫を亡くした山本美咲は、深い悲しみと喪失感に襲われた。夫が亡くなる前には、彼女たち夫婦は、夢に向かって歩むために共に励み、支え合っていた。しかし、夫の死によって、彼女の人生は一変した。初めは、夫が亡くなる現実を受け入れられず、自分が立ち直れないと感じていた。夫を思い出すたびに胸が締め付けられるような悲しみが常に彼女を襲ってきた。


山本美咲は、肺がんを見落とした医師に対して、強い怒りと失望を抱いた。夫の死を防げたかもしれないという思いから、医師が過失を犯していたことに憤慨した。医師が夫の病気を見落としたことによって、夫は苦痛を受け、最期の時を迎えなければならなかったことも、山本美咲の憤りの対象になっていた。


彼女にとって、医師が夫を救えなかったことで、全てを失ってしまったという感情がある。でも、夫の死を無駄にしたくない。必ず夫の仇はとりたい。そんな彼女の心境は、喪失感と悲しみと怒りと決意という複雑な感情が入り混じったものだった。



▼ 弁護士を探す


山本美咲は、自分の状況を把握するために、インターネットや書籍などで肺がんの情報を収集し、肺がんの治療に精通した医師や専門家の情報を調べた。この過程で、肺がんの治療や医療ミスに関する法律問題を扱う弁護士や法律事務所の存在を知ることができると思っていた。しかし、法律事務所は世の中にたくさんあり、どの事務所であれば、夫の無念を晴らせるのか分からなかった。

美咲は、インターネットやテレビなどのマスメディアを通じて、弁護士事務所を探したが、こちらも過払い金の返還や債務整理の事務所ばかりで、適当な弁護士にたどり着くことは出来なかった。


そんな中、真田零斗の電話番号を得ることができたのは、美咲にとって、僥倖であった。


真田「山本さん、お電話ありがとうございます。ご主人のことで何かお力になれることがありますか?」

山本:「はい、夫が亡くなったのですが、肺がんを見落とした医師がいたと思うのです。訴訟を考えているのですが、どうすればいいのかわからなくて。」

真田:「そうですか。山本さん、ご主人の病歴や医療記録などの書類はありますか?」

山本:「はい、あります。でも、どうやって訴訟を進めればいいのか、どんなことを証明しなければいけないのかわかりません。」

真田:「山本さん、私たちがお手伝いできます。医療ミスの訴訟には専門的な知識と経験が必要ですが、私たちはそういった案件を得意としています。一緒に訴訟を進めましょう。」

山本:「本当に、ありがとうございます。夫のためにも、最後まで戦いたいと思っているのですが、私には弁護士になる友達もいないし、弁護士事務所をどこに頼めばいいのかわからなかったんです。」


真田:「大丈夫です。私たちは、どのような問題でも対応できるよう、当事務所のスタッフ一同全力でサポートいたします。」

山本:「ありがとうございます。私も、真田さんたちと一緒に戦いたいと思います。」


真田零斗は、このように、山本美咲に対して、専門的な知識や経験を持っていることを伝え、彼女の不安を取り除いた。真田が、クライアントから信頼される理由の一つである。決して社交的ではないが、クライアントの気持ちに寄り添うことを信条としている。


美咲は、後日、真田零斗法律事務所を訪問することになった。



▼ 真田零斗法律事務所


訪れた真田零斗法律事務所は、緑を基調にした品の良いオフィスであった。


真田:「山本さん、まずはご主人の病歴や医療記録などの書類を拝見して、訴訟に必要な情報を整理しましょう。また、訴訟を進める上で必要な費用や期間についても、詳しくお話しさせてください。」

山本:「はい、よろしくお願いします。ただ、私、弁護士事務所を雇うのって、すごくお金がかかるんじゃないかと心配しているんです。」

真田:「そうですね。訴訟によってかかる費用は、ケースによって異なりますが、当事務所では、訴訟を受任する場合には、初回相談からの相談料は無料で、受任しなかった場合には、30分5000円にしてます。山本さんはご紹介ですので、いずれにしても無料です。着手金は日弁連の古い基準によって決めている事務所が多いですが、当事務所はこれよりもかなり高めに設定してます。高確率で勝つために、必要なことを徹底的にするからです。また、訴訟の結果に応じた報酬体系を採用しておりますが、これは日弁連の古い基準のとおりです。」

山本:「そうなんですか。。。着手金が他の事務所より高いんですね。」

真田:「はい。ご依頼いただいたら、山本さん、私たちはあなたとご主人のために戦います。」


美咲は迷ったが、真田零斗の自信満々な口調を信じた。着手金はとても高額であったが、夫のために、ベストな弁護士と戦いたかったのだ。



(第三話に続く)

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