「訴訟弁護士と忍法」第一話
▼ 肺がんの見落とし
主文「被告は、原告に対し、4200万円及びこれに対する令和3年2月1日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。」裁判長の大石主税 (おおいし もんぜい)は、判決を言い渡した。
弁護士の真田零斗は、この訴訟を、若手弁護士の伊賀慶之介とともに、この1年間担当していた。事案の複雑さからすると、2年はかかると見られていたし、勝てる見込みの薄い事件だった。伊賀にとっては初めて担当した事件だった。
「伊賀、お前もよくやったな。このような大病院と戦えるだけの力をつけたのは、なかなかのものだ」伊賀は真田の言葉に微笑んで答えた。
「ありがとうございます。しかし、まだまだこれからです。私たちが本当に勝利するためには、もっと努力しなければなりません」
真田は伊賀の言葉にうなずいた。
「それはそうだな。しかし、お前は今のところ、いい仕事をしている。」
伊賀は真田に向かって深く頭を下げた。
「ありがとうございます。私も、真田先生の訴訟戦略を勉強させていただき、今後の裁判も勝てるように努力して参ります。」
真田は伊賀の言葉に微笑みながら答えた。
「そうだな。私たちが一緒に戦えば、必ず勝てる。これからもよろしく頼むぞ」
この医療訴訟は、肺がんの見落としが問題となったものだ。争点は、担当医師には肺がんを見つけるべき義務の有無である。
真田弁護士に、この事件を依頼したのは、山本美咲だ。旦那が肺がんによって亡くなったのだが、医師たちは、適切な検査を行っており、がんが発見できなかったことを強く主張していた。
▼ 弁護士真田零斗
真田零斗は、司法修習62期の弁護士である。弁護士生活は13年目を迎えており、主に訴訟弁護士として活躍している。いわゆる街弁であるが、抜群の訴訟戦略で多くの勝訴を獲得しており、クライアントや業界内での評価も高い。
実は、知っている者は多くないが、真田は、優れた忍者の血を引く家系であり、子供の頃から忍術の修行をしてきた。真田は、その忍者としての能力を活かして、法廷での訴訟戦略に独自のアプローチを持ってるのである。彼は、自身の忍術の技術や知識を法律に応用することで、相手を翻弄し勝利を収めてきた。また、真田は、忍者としての修行で培った勝負強い精神力を持っている。正義感が強く、自分が信じることには熱心に取り組むことができる。
しかし、真田には裏の顔もあり、法曹界の外にもその人脈がある。
真田零斗法律事務所は、表参道のビルの一室にある。落ち着いた雰囲気とモダンな内装が融合した、広々とした空間となっている。
建物は、外観が古いが、内装は現代的なデザインになっており、木目調の床と白を基調とした内装で、落ち着いた雰囲気が漂っている。事務所に入ると、正面にはレセプションカウンターがあり、壁には大型の液晶モニターが設置されている。レセプションカウンターの奥には、大きな会議室があり、そこにはテーブルと椅子が並び、大きな窓からは自然光が差し込む。会議室の横には、真田と慶之介が仕事をするための部屋があり、その中には書棚やパソコン、法律書などが備えられている。また、事務所の奥には、クライアントが待つためのスペースがあり、そこにはソファやコーヒーテーブルが置かれており、クライアントがリラックスして待つことができるようになっている。
クライアントに対して親身になり、解決に向けて全力で取り組む真田の姿勢が、事務所全体から感じられる。
▼ 弁護士伊賀慶之介
伊賀慶之介は、司法修習74期の弁護士である。新型コロナの影響で、ほとんどオンラインで実施された司法修習であったが、良い成績で修了を収めた。まだ実務についてから1年未満であるが、起案能力も高く、既に真田の信頼を得ている。
伊賀慶之介は、真田零斗とは近所に住んでいた幼なじみでもあり、彼と同じく忍者の家系に生まれた若手弁護士である。慶之介は、大学卒業後、忍者として長らく活動してきた。その後、法律を学び、司法試験に合格して弁護士となったため、忍者としての実務経験を活かして裁判での戦いに臨んでいる。彼は、真田とは対照的に、冷静かつ合理的な思考を持っており、常に客観的に事実を見極め、的確な判断を下すことができる。すなわち、慶之介は、法的な論理や証拠に基づく訴訟戦略が得意である。
真田とは違うが、伊賀もまた、表には出さない影の力を駆使して、相手にアプローチすることがある。
真田と伊賀は、忍者としての技能と弁護士としての法的能力を持ち合わせた、異色の弁護士コンビとして、裁判での戦いを繰り広げている。
(第二話に続く)