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46、お見舞い

 あおいは熱冷ましプリンと、カスタードシュークリームを作ると王宮に向かった。

「こんにちは、あおいです」


 あおいは門兵と、すっかり顔なじみになってしまった。

「ああ、また来たの? 貴方も大変ですね」

「大変と言うほどではありませんよ」

 あおいが門兵と話していると、城からクレイグが出てきてあおいを案内した。


「あおい様、アレックス様はこちらです」

「メアリー様も一緒ですか?」

「いいえ、別の部屋にいらっしゃいます」


 そう言った後、クレイグはため息をついてから話し出した。

「油断するとすぐメアリー様がアレックス様の様子を見に行こうとするので、アレックス様には離れの部屋で休んで頂いているんです」

「そうですか」


 離れの部屋は、広かった。

 シンプルだけれど良い素材で作ってあるのが分かる家具とベッドが並んでいる。

 そして、そのベッドの中にアレックスが寝ていた。

「アレックス様、お見舞いのお客様です」


「こんにちは、あおいです。大丈夫ですか?」

 アレックスはあおいの声を聞いて、上半身を起こした。

「こんにちは、あおい。こんな姿で失礼します……」

 アレックスはベージュ色のガウンを身にまとっている。


「無理しないで寝ていて下さい。まったく、病人の食べ残しに手を付けて風邪を引くなんて、あきれちゃいます。……食べたいなら、私に言って下されば良いのに!」

 あおいはアレックスに軽く注意した。


 アレックスは困ったように笑ってごまかした。

「あまりにも、美味しそうだったもので、つい……」

「はい、これ、お見舞いのプリンとシュークリームです」

「プリンはこの前メアリーが食べていたものですよね? シュークリームとは何ですか?」

 アレックスは、目の前に置かれたかごをじっと見ている。


「シュークリームって言うのは、薄く焼いた皮の中に、たっぷりとカスタードクリームを詰めたお菓子です」

「それは良いですね」

 アレックスは嬉しそうに微笑んだ。


「ひんやりしていて甘いから、病気の時でも食べやすいと思って沢山持ってきました」

 かごの中には熱冷ましプリンが三つ、シュークリームが6つ入っていた。

「クレイグ様とメアリー様の分もありますから、食べ過ぎないように気をつけて下さいね」

「ありがとう、あおい」

 あおいはアレックスの手が、熱で震えているのに気付いた。


「アレックス様、あーんして下さい」

「え? 私は子どもではありませんよ」

 あおいはアレックスの言葉を無視して、熱冷ましプリンを取り出すと、添えていたスプーンで一口すくってアレックスの口に運んだ。


 ぱくり、とアレックスが食べる。

 アレックスの熱で赤い顔が近づくので、あおいは内心ドキドキしていた。

「うん、冷たくて甘くてとろりとして美味しいです」

 アレックスは目を閉じて、ふう、と息をついた。


「まだ、残ってますよ?」

「あとは一人で食べられます」

 アレックスはプリンとスプーンをあおいから受け取ると、ゆっくりとプリンを食べ出した。

「後はゆっくり寝て下さいね、アレックス様」

 脇であおいとアレックスのやりとりを見ていたクレイグが言った。

「それでは、私は帰ります。お大事に、アレックス様」

「ありがとう、あおい」


 あおいは城を出て町にでた。

「アレックス様、やっぱりいつもより元気なかったな。早く治ると良いけど」

 あおいはそう呟きながら、自分の店に向かった。

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