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44/51

44、熱

 あおいが店に出る準備をしていると、城の兵士が手紙を持ってきた。

「おはようございます、あおい様。クレイグ様からお手紙です」

「え? クレイグ様から? 珍しい……。ありがとうございます」

 あおいはクレイグからの手紙を受け取ると、早速開いて読んだ。


 <おはようございます、あおい様。実はメアリー様が熱を出して寝込んでおります。薬はあるのですが、まずいと言って飲んで頂けない状況です。なにか美味しい熱冷ましを作って城まで届けて頂けませんか? クレイグより>


「えー!? メアリー様、熱出しちゃったの!?」

 あおいは腕組みをして考え始めた。

「生意気な子だけど、まだ子どもだもんね。甘い熱冷ましか」

 あおいは冷蔵庫の中を見て、頷いた。


「可哀想だし、ちょっと頑張って見ちゃおうかな」

 あおいはまず、薬草を煮出して熱冷ましを作った。

 そして、こんどは卵と牛乳をまぜたり、カラメルを作ったりしてプリンの材料を揃えた。


「これを錬金の鍋に入れて熱冷ましの薬と混ぜれば……」

 釜の中が光る。

「よし! 熱冷ましプリンが出来た! 味はどうかな?」

 あおいは一匙すくって食べてみた。

「うん、ほろ苦いけど甘くて美味しい。これなら、メアリー様も食べられるよね」


 あおいは小瓶に熱冷ましプリンを詰めたものを三つ作って、カバンにしまった。

「よし、じゃあお城に行こう!」

 あおいは城に向かって歩き始めた。


「こんにちは、クレープ屋のあおいです!」

「これは、お待ちしておりました。あおい様」

 少し疲れた様子のクレイグがあおいの到着を待っていた。


「熱冷ましプリンを作ってきました!」

「それはありがとうございます。メアリー様はこちらです」

 クレイグが客室へあおいを案内すると、ベッドの中に赤い顔をしたメアリーがいた。

「あら、とし……いえ、あおいさん、何しに来たの?」


「お見舞いですよ。メアリー様」

「私が弱っているのを良いことに、復讐しに来たんじゃ無いの?」

 熱で声が弱々しいが、メアリーは憎まれ口を叩いた。


「これ、よく冷えていて美味しいですよ。プリンっていいます」

 あおいは気にせずプリンをかごから取り出して、メアリーのベッドサイドの机に置いた。

「……食欲無いの」

 ベッドの中にメアリーは潜り込もうとしたが、クレイグがメアリーを起こした。


「メアリー様、昨日から飲み物しか召し上がっていないじゃありませんか。あおいの作ってきたプリンを食べて下さい」

「……分かった。一口だけもらうわ」

 メアリーは上半身を起こして、机に置かれたプリンを食べた。

「冷えてて、甘くて美味しい」


 メアリーはお腹が空いていたのか、すぐに一瓶のプリンを食べ終えた。

「あら? なんだか頭の痛みが治まったわ」

「メアリー様、熱は?」

 アレックスがやって来て、メアリーのおでこにおでこを当てた。


「うん、熱も下がってきているようですね」

「よかった」

 アレックスがあおいに微笑むと、メアリーは頬を膨らませて、ベッドに潜り込んだ。


「それでは、食後に熱冷ましプリンを食べて、よく眠って下さいね」

「……ありがとう、とし……いえ、あおい」

 メアリーは、ベッドの中からあおいに礼を言った。

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