表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/51

16、アレックス来訪

 あおいが目を覚ますと、目の前にアレックスの顔があった。

「あおい、扉の鍵が開いていましたよ」

「きゃあっ! アレックス様!?」

「呼んでも返事がなかったので、勝手に入ったことはお許しください」


 アレックスは困った表情であおいを見ていた。

「はい、差し入れのパンとチーズです。二日酔いはもう直りましたか?」

「え!? どうしてそれをご存じなんですか?」

 アレックスはため息をついた。

「冒険者の館で、カイとロイドさんから聞きました」

「……あのおしゃべりめ。言わないって言ったのに……」


 アレックスの視線は厳しかった。

「あおい、あなたも年頃の女性なのですから、一人で酒場などに行ってはいけませんよ」

「はい、アレックス様」

 あおいはアレックスの顔を見るのが怖かった。


「一緒にロイドさんがいたから良いようなものの」

 アレックスはもう一度ため息をついた。

 あおいは身を小さくして俯いた。

「もう、抱きついたりしません……」


「抱きつく!? なにをしたんですか? あおい」

 アレックスの声が大きくなった。だれも、あおいがロイドに抱きついた話はしていなかったらしい。

「え、あの、その」

「あおいはよっぱらって、ロイドさんに抱きついたのですか?」

「……はい」

 アレックスの目が冷たい。あおいは布団の中に潜りたくなった。


「あおい、つぎからお酒を飲むときは私も誘ってください。ひとりで飲ませるのは危険すぎます」

「はい、わかりました」

 あおいはアレックスに、お酒の注意をされるとは思っていなかった。


「ところで、今日は何の用事で家にきたのですか?」

 あおいの問いかけにアレックスは目をそらした。

「市場にも、図書館にもあおいが現れないので、何かあったのではないかと思ったのです」

「アレックス様……。ありがとうございます」

 あおいは、ただの二日酔いだったことが恥ずかしかった。


「もう、ロイドさんと二人きりで飲んだり、一人で飲んだりしません」

「そうしてくださると安心です。ロイドさんも人が良くて助かりました」

「はい」

 アレックスは、持ってきたパンとチーズを台所において、あおいの家を後にした。


「ああ私、ほんとに、何やってるんだろう」


 あおいはアレックスの持ってきてくれたパンにチーズを挟んで食べた。

「アレックス様、優しいなあ……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ