フラワーケーキ
慣れない離乳食作り。3食になると大仕事だ。
ネットでよく見る、彩り鮮やかな映える離乳食を毎食用意することは難しい。
いつものように昼食を用意して食べさせるが、
今日は最初からグズるし、半分も食べなかった。
「せっかく作ったのに…」
食事用の椅子から降りるや否や、赤ちゃんはお気に入りのおもちゃへまっしぐら。
私はやり場の無い虚しさを胸に、食器を洗うためキッチンへ戻る。
洗い物をしながら、ふと子供の頃を思い出した。
小学校から帰宅後、私は祖母の畑の隅っこで友達と遊んでいた。
その日はケーキ屋さんごっこ。
土でチョコレートケーキを作り、友達と2人でお店に並べるケーキをせっせと作る。
母は花が好きで、自宅の庭はいつも季節の花々が咲いていた。
母はよく庭の花を花瓶に生けて飾っていたので、
ケーキにもそのお花を使おうと友達と決めた。
夕方帰宅した母にそのフラワーケーキを見せると、
「きれいにできたね!」
と言って褒めてくれた。私も母の笑顔が見たかったのだと思う。
子供は遊ぶのが仕事。
「困らせようとしてるんじゃない」
そう心の中で自分自身へ言い聞かせると、気持ちが少し楽になった。
洗い物を手早く済ませて振り向くと、おもちゃを手にベストスマイル。
我が子ながら、抱きしめずにはいられなくなる。
腕の中の子供の体温、それは幸せを感じられる至福の時。
落ち込んでいる時間なんて無いのだ。
私はこの子のためにいる。