明日はアメかなコサメかな
ずっと雨が止むことなく降り続いたら。
そう考えて書きました。
雨が続く国。
その国では、雨がもう10年以上も降り続いていた。
地面の多くはえぐれ、枯れる植物も増えて、それによりまた土砂災害が増えていた。
雨も決して同じような勢いというわけではなく、強くなったり、弱くなったり。
ただ、それでも、ひたすらに雨が降り続けていた。
「今日で雨が降り始めてちょうど10年になります。」
ラジオから聞こえてくる声にはもう感情がこもっていない。
人間を使うのを止めて、人工音声にしたのかも。
そうしたら、プログラムしておいたままに自動的に話す内容を作って発表してくれるものな。
TVは民放は統廃合されて半分のチャンネル数になった。
雨が続くなら、家でテレビを見ている人が増えるかと思いきや、それで生き残れる訳ではないようだ。
やはり国の経済状況自体も悪いので、娯楽業界にお金を落とす人が減ってきた、というのが実情だろう。
実際には、農作物も育たなくなったこの国では、すべてが輸入に頼っている。魚介類を除いて。魚介類は、雨でも取れるものは変わらず取れているようだ。ただ、これもいつまでも安定しているわけではない。
エネルギーはもともと輸入に頼っていた国だ。国家全体としてエネルギー消費が増えたのだが、それでも、そんな大きな影響は、他の分野に比べれば微々たるものだろう。
やはり農業への影響が何よりも大きい。農家のほとんどは国の支援を受けているが、それでも生活をやりくりするのはもう無理だと、大きな問題になってきている。
そして、雨ばかり続いているので、都市生活も変わってきた。初めの頃は、人々は変わらず、スーツを着て会社へ出て行ったり、営業先にまたスーツを着て訪問先を回る、ということをしていた。しかし、こうも長雨が続くと、そうはいかない。服装はわざわざスーツを着ずとも、雨でも動きやすい、濡れにくい、乾きやすい服装に、となってきた。革靴なんて今は誰も履いていない。レインブーツでの仕事が一般的だ。
そもそも、会社に行かなくても出来る仕事はどんどんテレワーク化されていった。
外食産業はダメージを受けたが、仕方がない。多くの人間が勤務日に仕事に行くことを減らしただけでなく、休日もわざわざどこかへ出て行こうとは思えないのだ。こんな雨のなか。勿論、外出する人が全くいない訳でもないし、『雨でも出かけよう!』といった内容のテレビ番組もある。でも、多くの人が家にこもるようになったのは事実だ。
衣類に、布団も干せないので、ずーっと部屋干しを続けていると、衛生的に大丈夫なのか?と心配する人もいる。でも、外に干そうとしたら濡れるだけなのだ。仕方ない。除菌スプレーで凌いでいる人がほとんどだ。
さて、そんな雨も、決して弱い時ばかりではない。時には大雨となり、川を氾濫させ、橋を流したり、と被害を出している。そして雨が続いているので、なかなか復旧出来ない。流された家や、土砂崩れに巻き込まれた家屋の中に閉じ込められた方々は見つからないことが増えていった。
実際、自衛隊ももう限界なのではないか、と見えた。10年前であれば、テレビに出てくる自衛隊は過酷な環境下でも被災者救助に努める英雄であった。今はその英雄たちの顔や動きに疲れが隠せない。いや、もはや彼らも隠そうとしていないのではないか。彼らも人間なのだ。僅かな休暇しかもらえず、危険な救助活動や過酷な復興作業に追われ続けているのだ。無理もない。どうか彼らにも一時の安寧を。
ラジオから流れていた音楽が突如消えた。
「3時です。ピーン。」
時報とのつなぎも雑になってきたもんだな。。。
「こんにちは。3時のニュースです。まずは天気予報から。東さん?」
「はい。お伝えします。
ながく停滞していた前線がついに東に動き始めました。
衛星からの情報を解析していくと、ここ10年にはなかった動きのようでした。
このまま移動していけば、西のほうから順に、今夜からでも雨が止むでしょう。
明日は10年ぶりの晴れになるかもしれません!」
お天気お姉さんは話をしているうちに、もう興奮が抑えきれらないようだ。
そうだな。
明日、晴れたらどうしよう。