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水無月

作者: 生神真原

水の街を1人彷徨う。

無い物ねだりの今日のはじまり。

月光も霞む傘の群れを

のろりのろりとすり抜けた先の曇天。

沈黙した景色を

黙々と雨が塗り替えてゆく。


乾かない水の街は

いたみすら忘れてしまったみたいだ。

ただ過ぎてゆくだけの日々に、

街の眩むような明るさに、

のけ者扱いされた

紫陽花の静けさ。

色が着々と塗り替えられてゆく。


灰色の空はきっと

色を忘れてはいないのだろう。

のろのろと歩く私に

雨が突き刺さる。

ガラスの様に鋭く、

輝きを失わない。

やけに冷たさを帯びていく心に

くじけそうな程の痛みが走る。

街は灰色で私を塗り替えてゆく。


孤立した野原にぽつりと1人きり。

独占欲の塊は

ガスのように積もりゆき、

溶けた思考は

けがばかりを増やしてゆく。

ダメの一言がゆったりと

雨の中に溶け出て

蛙の体を緑に染める。

のんびりとした日差しの覗く空を

私は緑色で塗り替えた。


今日で灰色の梅雨が終わる。

そして緑色の梅雨が始まった。

お久しぶりです。

いつもながら不定期更新の私です。

よければ感想を残していただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 水無月、その1単語からここまでの詩を作り上げられることに感動しました。『灰色=無色』と、『緑色=有色』の対比がよく現れていました。現代の町は確かに灰色に染まっています。しかしその中でも色を…
[良い点] 文章表現が綺麗で独特だと思いました。
2019/06/10 21:24 退会済み
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