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発狂な僕

今日はどんなストーリーが待っているのだろうか。

そんな高揚感を手にしていた。

ベッドから起き上がると机に丸っこいパンにバターの様なものが用意されていた。


僕はパンを手に取り、バターを一切れすくい、パンに塗りつけ口に運ぶ。

やはりと言うべきなのか異世界は日本とは違って西洋などが多いようだ。


食べながら外に出ると風が吹いてきた。

背伸びをして僕は周りを探索する事にした。


村の中は牧場と農場が幾つか建てられていた。

周りは草原に木が所々生え立っていた。

遠くには木々が生えている山があった。

僕はほんの少しの好奇心で山に入った。


奥へと顔にぶつかってくる葉を避けながら進む。

そして辿り着いた所は洞窟のような所だった。

僕が足を地面に付ける事に触れた部分から蒼い光が洞窟内を照らす。


まるで行くべき道を示すかのように洞窟内を照らしていた。

奥には黒いローブを纏った人が座っていた。

その人はフードを被っていてフードの隙間から白い肌が見え隠れし、時々潤った唇が見えた。

その他は全く見えず黒いローブを纏った人としか今は思えなかった。


僕はじっと見つめているとやがて黒いローブを纏った人が問いかけてきた。

「あなたは誰ですか?」

問いかけてきた声は高く、突然の言葉に僕はビクッとしてしまった。


僕は間を開け

「この近くの村に住んでいるただの村人です」

突然の問いかけでつい敬語になって喋った。

「違います。あなたの名前です」

「あ、あぁ、僕の名前はマーサーです」

「変わった名前ですね。あなたはここへ何しに来たんですか?」

「へ?」


「はぁ、だからあなたはここへ来て何しに来たんですか?」

「いや、あからさまにため息つかれたら僕のメンタルが崩れますよ...」

「メンタル?何を言ってるか分かりませんが...いいでしょう。ここは神秘の(ラノシアファタル)の洞窟です。常人には来れません。そもそも常人はこの洞窟の岩に触れたら四散するはずですから、あなたは魔力許容量が並の人より多いようですね」


「待ってくれ...話に着いていけてない...」

「呆れますね。では一言で言いましょう。ここは神や龍、エルフや獣人、勿論人などのこの世界の生き物は立ち入れられない所です。つまり、あなたがこの世界の人ではないという事です。」

「だからなんだ?ここに来れてなにか恩恵みたいな物とか無いのか?」

「...これだから人間は...」

「?」


「我のの名前はミナリこの世界では無い別の世界から来た神だ。そして、運良く我の加護を受けし人間よ...喜べ...貴様に“更新の加護”を与える...」

「え?待って頭が破裂する寸前なのにさらに追い打ちか?」

「我は神。貴様は人間。立場が違うのだ。この世界の種族は全て魔力許容量が低い。しかし別の世界の者は魔力を正しく使えないくせして、魔力許容量が多いのだ。だから我と貴様はここに来れたのだ。ここはこの世界の“核”になり得る場所だ。」

「は、はぁ...」


「貴様へ付けた加護はこの世界の生き物を倒した時に貴様にしか見えない経験値の魔石が落ちる。その魔石に触れると経験値を手に入れることが出来る。経験値は一定集めると更新され、力が上昇する。力というのは一般的に体力もそうだが攻撃力とかが魅力的だろう?つまり、貴様は生き物を倒すことによって力が増す。とても良い加護だろう?しかしこれは呪いでもあるのだ。力を手に入れすぎると調整ができず、己を滅ぼすことになるぞ。精々一生懸命生きるんだな、人間」

「はい...」


僕が返事をした瞬間突風に包み込まれ、目を開けると草原にいた。

前方は森の手前だった。


空は橙色に染まり、村は遠くから分かるほど家の明かりが点っていた。


僕はまっしぐらに村に走っていた。


すると何故かみんなが慌てていた。

「どうしたんだ?」

僕が松明を持った村人に問うと

「ササが...行方不明なんだよ...!」

え?

僕は声にならない疑問を感じた。


僕は走った。

ただただ走った。

けれどササは見つからなかった。


そのまま夜は更けていく。

つまり、現実に1度戻る時間だ。

意識がぶれる寸前に見かけた魔族がササを肩に担いでいるのを見た。

僕は手を伸ばして、名前を叫んでいた。

「ササーッ!」


ブツンッ!とテレビの画面が切れるように現実に戻された。



ぁあ、あぁあ...

無意識に妄想異世界で叫んでいた事が小さな声でも手を伸ばしていた。

ハッとなって頭を上げて周りを見渡すと、教室には数人しかおらず見られなくて良かったと謎の安堵を浮かべ、ちょうどチャイムが鳴り授業が始まった。


そのままあっという間に放課後になり、帰る準備を済ませて、教室を出ようとするとなにかにぶつかった。

僕はぶつかった方向に向くと長身の男子だった。

「ごめん」

という一言を言ってそそくさと帰る僕をその男子は見送った。


家に帰ってきた。

ベッドに寝転がり、いつの間にか眠り、気づくとそこは朝焼けに嘆きの声。

僕は失敗してしまった。

自分の妄想した異世界なのに予想外の事が起きてばかりいる。

記憶が混濁してる。

おかしい。


僕はササを最後に見た場所へ第一に行くが証拠というものがない。

しかしよく探すと木に何か文様が彫られていた。

素手で触れた瞬間全身に衝撃が伝わり。

その反動で別の木へと飛ばされた。

背中を強打し悶絶する。


しかしこの文様が魔族の術式だとわかった。

よく見るとそこはかとなく魔法陣に似ている気もする。

僕は地面に木にあった文様を書くと、眩い光が辺りに充満した。

後に光はガラスのように砕けてなくなった。

試しに自分の体を魔法陣に投げ込むと、空高く舞い上がった。


「うわぁぁぁあ!」

たまたま上がった場所が良かったのか、遠くに羽のはえた人型の生き物が飛び立っていた。

あれは魔族か?

すぐに向かおう。


木をクッションにして落ち、地面に足が着いた直後に猛ダッシュをした。


そして着いた場所は魔族の拠点。

まだ小規模な拠点だ。

恐らく第何個めかの拠点だろう。

拠点を見るに悪魔(デビラ)族が集合した拠点。

デビラは人型だが違うところがある。

細い尻尾と羽が生えていて頭部に角が生えているのだ。

人々は大体の魔族がこんな風だと思っているらしいが実際には全ての生物と同じで変わった魔族もいるようだ。


「ここにササがいるとは限らないがいずれ村を襲撃してくるかもしれない害虫の巣だ。潰してやる!」

僕は決意を露わにして走り出した。

悪魔が一体目の前に飛んできた。

「>$\<\¥^++7:%-*#9=:#=;*+:?」

「何言ってるか分からねぇ」

悪魔は何かを言っているようだが僕には理解出来ず、じっとしていると急に襲ってきた。


悪魔の力は絶大で今の自分に倒せるかと思った。

僕は腰についた小袋に手を突っ込み両刃剣を手にし、悪魔に飛びかかった。


悪魔は僕の剣を止め壊した。

刃はナイフ位の長さになってしまった。

ナイフでは魔族は倒せない。

理由は簡単だ。

皮膚が硬いのだ。

関節までも硬い正直勝機なんてない。

でも、やるんだ。


1度決めた決断は折れず立ち向かう。

しかし悪魔に頭を掴まれ、地面に叩きつけられる。


怖い、痛い、苦しい、辛い。


ササ、ごめん。


ここで死んでしまうかもしれない。


今までありがとう。


さよなら。


「何言ってるの!また仕事しなきゃでしょ!早くしてよ!」

誰かの声がする。

誰の声か区別できない。


「ねぇ、助けてくれないの?」

まるで耳元と囁かれたように聞こえたその声は

「ササ...」

暗がりの視界が明確になり、僕は夢中で起き上がった。

叫びながら、発狂しながら、血反吐を吐きながら。


その時僕がどんな動きをしたのか不明だったけど、ササを助けられるならそれでいい。

そう思った。


「はぁぁぁぁあ!」

「;%"_'_||||||||||||||!」

僕は俊敏に動き、切りつける。

どんなに皮膚が硬くたって何度も切りつければその皮膚は破れる。

破れたら肉を切る。

常識だ!


目にも止まらない速さで切りつけていき、最後の一撃を脳へ刺し込む。

悪魔の体は血だらけになり横たわっていた。

息はしてなかった。


安心して腰をつくと、悪魔の近くに魔石が落ちてあった。

興味が湧いて触れてみると、体に吸い込まれていく。

「え?え?!えええええ!」

驚きを隠せなかった。

しかしすぐに気づいた。

そう言えば更新の加護とか言ってたな。

力が上がったのかな?

まぁいい。

今はササを探す...!

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