第2話 ユータ、女神に出会う
初めてブクマしていただきました、結構うれしいものですね。
気がつくと知らない部屋にいた。部屋全体としては白で統一されている。地球儀のような物とモニターが斜めに置かれた事務的なデスク。デスクの横にはH〇とロゴの入ったワークステーションがおかれ卓上のモニターにつながっている。知らない文字で書かれた本が詰まる本棚。
デスクの前には長めの机に椅子が対面するようにいくつか置かれていた。
「気がついたようですね、中条悠太さん」
デスクには一人の女性がいた。銀髪に白い肌、容姿は整っていて美女といっても差しさわりないだろう。
「お悔み申し上げますが、あなたはなくなりました」
「死んだ?」
悠太は動揺するが、どこか納得していた。
さっきまで居酒屋で飲んでいた、それが二日酔いにもならず、突然こんなところにいるとなれば……ドッキリという可能性もあるがそれよりは自分は死んだという事のほうが納得できる。
それほど二日酔いがないという事が悠太の中で大きかった。
ついでに言うと悠太は人間が死んだらどうなるかという事に、興味があった。死んだという恐怖より知的好奇心が勝ったのだ。眠ってから死んだので、死ぬ感覚というものは終ぞ味わうことができなかったが。
「あなたは?」
率直な疑問を訪ねる。一つの疑問が解消しても新たな疑問が生じる、人間とは難儀な生き物である。
「私はあなた方の世界の管理者です、神のようなものだと思ってください」
「ここはどこですか?」
「天国のようなものですかね、まあ立ったままというのもあれなのでどうぞ座ってください。」
悠太は促され椅子に座る。教授がゼミの予算を使い購入した高級な椅子より質がいいかも、と悠太は思った。
「ここは天国より上に位置する場所になります。そこにある私の部屋ですよ。どうですかデザインは? 気に入っているのですよ」
「良いと思いますよ」
当たり障りのない答えだ。
床まで白いのだ。全体的に白過ぎると思わないでもないが神を名乗る存在が〝気に入ってる〟と言うのだ。ケチをつけるなんて勇気は悠太にはなかった。
そこそこ小心者のようだ。
「そうですか……」
すこしがっかりした様子の女神。心が読めるなら先に言ってほしい、と思う悠太であった。
「なぜ私はここにいるのですか」
普段は自称俺の悠太であるが、つい私としてしまう。
ユータは身長も平均程度、顔に至っては老けてる、怖いなどと言われる。ここに呼ばれる理由が分からなかった。
「楽に話してもらって構いませんよ」
クスリと笑いながら女神はいうが無理な相談だろう。こういう場合の〝楽にしていいよ〟を真に受けてもろくなことにならないと悠太は知っていた。
「普通はここに人が来ることはできないのですが、あなたは選ばれていたので権利が与えられます」
「権利?」
悠太は首をかしげる。
「はい、記憶を持ったまま転生するか、この世界で輪廻の輪に入り生まれ変わるかを選ぶ権利です。転生するのはあなたがたのいう所の剣と魔法のファンタジーな世界ですね」
「魔法があるのですか!」
悠太はその手の話が好きなオタクである。ビール片手によくアニメも見ていた。しかし自分が勇者に成りたいなんて思ってはいなかった。傍観者として眺めるのが好きなのだ。
ハーレムには興味があった。相手のことを思うと甚だ不誠実だとは思うが……
「魔王とかはいるのですか?」
これだけは聞いておく必要がある。誰しも魔王と血みどろの争いなどしたくないのだ。
悲しきオタクの定めか、すでに異世界に転生することで思考がまとまりつつあった。
「いますよ、ですがあなたの思っている魔王ではありません。魔王とは魔族の王にすぎませんから人間の王と変わりません。人族、魔族のほかにもエルフ、ドアーフ、獣人、妖精などもいますがこちらで言うところの皮膚の色だと思ってください。あと選ばれたと言っても別に何かして欲しい訳ではありません。好きに生きてもらって結構です、宝くじにでも当たったと思ってください
選び方は0から9まで番号が書かれた的をいくつか用意してダーツを投げて決めました」
魔王と闘わなくていいのは良いが選び方が適当すぎないかと思う悠太である。一昔前の宝くじの当選番号の選び方である。
何より驚きなのは人類皆マイナンバーを持っているようであった。
「チーとは! チートはもらえるのですか?」
「はい、いくつかお渡しします。最初のころはなかったのですが皆さんすぐに亡くなっちゃうので見ていて面白くないし実験にもならないのですよ…あ」
異世界は結構厳しいようだ。
まあそれも当然だろう、悠太には現代人がそんな世界で生き延びれるとは思えなかった。
屈強な軍人さんでも兵站なくしては戦えないのだ。いくらサバイバルの訓練を受けていても植生も違う異世界に放りこまれ、生き延びることができる人間はまれであろう。
そして新事実、転生は神の娯楽だった。
「こほん、我々も暇なんですよ……この世界も向こうも基本的に保守運用はほぼ自動化されていますし……。このことは内緒ですよ? チートに色を付けてあげますから」
「了解です」
その娯楽のおかげで異世界に行けるのだから何も問題ない。色も付けてくれるようなので万々歳だ。
「とりあえず、向こうの世界の説明を続けますね。あちらの世界での種族に関しては先ほど説明したとおりです。ダンジョンなどもあります、ダンジョンマスターもいます。ダンジョンはいろいろな資源が湧く場所と認識してもらって結構です。生物の能力は種族レベルと職業レベルによって決まると思ってください。種族レベルが基本値だとすると職業レベルが+αです」
(なかなか面白そうな世界じゃないか)
悠太は内心で思う。
「ステータスを決めていきますか、男性と女性、どちらが良いですか?」
「男でお願いします!」
女性になってみたいと思わなくもないが、男からいやらしい目つきで見られるのだけは勘弁して欲しかった。
これだけは譲れない。
そんなこんなでキャラメイキングが始まった。