ある出会い
今回短めです。
それと主人公全く出ません。
★???視点
与座宮高等学校。
そこが、私が来週から通う高校。
父親がわりの奴の都合で引っ越すことになり、私は慣れないこの街の土地に足を踏み入れた。
正直、この街は綺麗だと思った。治安もあまり悪そうには見えないし、雰囲気が穏やかな感じだ。
まぁ、この街は夜になると姿をかなり帰るけれど。
私が家を出たのが21時くらいだったから、今はだいたい22時前と言ったところだろうか。昼間の賑やかさとはまた違った、色めいたきらびやかな大人の街。この商店街は特に、この街だと悪目立ちをしていた。
ただ、そんなアブノーマルな空間を心地よいと感じる自分もどうかと思ってしまう。これは昔からの環境が悪い。あいつらといると、こういうのが普通になるからな。
まぁ、別に怖くはないし、どうかと思っているところで私の足が家へと方向を変えることなんてするはず無い。ただ、そのやけに長い闇の世界へと引き込まれていく。大通りを歩くぶんにはそんなに問題は無いだろう。別に人がいない訳では無いのだ。ホストやキャバクラ、居酒屋やバーなどの店だってあるし、夜らしくそういった大人たちが遊んでいるだけの話。
でも意外と、女もいるもんだな。
こんな夜の世界、来るのは不良やそっち系の奴らばかりかと思ったが、すれ違うやつは女もいる。派手な化粧に肌を出した派手な服。キャバ嬢じゃ無さそうだけど、めかしこんで入るとそんなに違えばないように見える。なんか、夜なのにまるで朝だ。ある意味で明るくて眩しいし、でもどこか雰囲気がある。やっぱり、こんなところに来るやつは普通ではないから、なるべく顔は見られないように帽子を深くかぶり直した。
好んでわざわざ来るやつなんて、何かしらの面倒な事情があるやつか、金稼ぎに夢中なやつか、そんなもんだ。
そんな感じで、これからお世話になるであろうこの商店街を探索しながら進んでいく。周りから見たら、黒ずくめの私も随分変わった奴なのだろう。ガンを飛ばされたりはするが、基本絡まれることは無かった。目立たないようにしたはずが、どこぞの不良と勘違いされてそうだな、これ。
目立たないように、気づかれないように。
そんなふうに、なるべく道の端を通っていたからなのかもしれない。
「なんだろう?」
それは本当に偶然で。
新参者の私の様な人がキョロキョロあたりを気にしていなければ気づかないような細い路地の方。色々な偶然が重なって、私はその日、あるものに目を向けてしまった。日常の終わりを合図するそれに、気づいてしまったのだ。
「……うぜぇ、オマエ」
何かわからないが、誰かの声が聞こえる。それに気づいて1点に目を集中させる。
街灯も何もなく、ただの暗闇がある細い路地に、何かが置いてあった。大通りとは違って人もいなく、通る気配もない。だからなのか、私とすれ違う人たちはこの違和感に誰ひとりとして気づかずにスタスタと通り過ぎてしまう。
ごみ、か何かだろうか。
1歩、近づく。
━━━━ちがう。
また、1歩。
━━━━え、これって人だよね。
2歩、3歩。
夜目は聞くほうなので、近づくに見えてきたそれら。ゴミだと思われた地面のモノは、よく見る形で姿を現す。
倒れているのは、明らかに人の形をしている。それも、ひとりなどという可愛い数ではない。
こんなこと、いったい誰が。
何かあってからでは遅い。そう思って近づこうとした私は、またあることに気づいて早まる足を止めた。否、止まっていたの方がいいのかもしれない。意識的ではないのだから。
その場所にはもう一つ、真っ直ぐ凛とした影があった。
「て、んめぇ!ガキの癖にふざけ……っゔァ!」
圧倒的。
そんな言葉が似合うのはこの人しかいないと思った。
倒れていた1人がヨロヨロ起き上がると、その力の込めた一撃でその影に殴りかかっていた。だけど、そいつはを易々と長い脚で蹴り飛ばして、どこがつまらなそうに前髪をかきあげた。そうしてみた横顔は、この世のものとは疑わしいほどに綺麗な形をしていて、その鋭い目は倒れた男達に圧をかける。
私の脚はその圧に殺られて無意識に怖気付いただけ。
今日は少し曇って入るが、月はみえる。路地裏だから、そんな場所に月明かりなどあるはずはないのに。
何故かその場所だけはドラマか何かの撮影のように、月の光は当然のように彼を中心に降り注ぐ。その光に照らされた美しい男が、ふと、倒れた男達から視線を外す。
これはまずいと思いながらも、そこで私は状況を整理することが出来た。
喧嘩、をしているのか、この街でも。
遠目からだと分からないその光景がきになって、悪くせで近づく体を恨みたい。
全く嬉しくないのだけど、この好奇心は必ずと言っていいほど悪運がある。悪運しかない。今日だってそうだ。こんな男に関わったっていいことが無いのは目に見えている。ならいかなければいいだけの話だか、そんな簡単に生まれついた行動力を抑える術は私にはない。
視線をあげた男は、その鋭い目綺麗な瞳を動かす。その方向は、私の歩いている方向だ。目だけをこちらに向けている。こちらには月明かりは差し込んでいないので、向こうは私が誰だか判断ができないようだ。それなら好都合。あらためて帽子を深くかぶり、顔を隠す。先程とは違ってこちらも意識しているから、男の出す殺気という圧に怯むことはしない。
それになんか、こいつを見てたらあいつらを思い出すんだよなぁ。特にあの目とか。あぁ、そういえば前に言われたことがあったなぁ。
たしか、『おまえは後先考えて行動しろ』とかなんとか。
……ったく、その忠告もう少し早く思い出したかったよ。
「おい、誰だ」
そうしたら、この闇に巻き込まれてなんかいなかったのに。
これでプロローグ出なのは終了です。次回からは本編に移りたいと思います。長くてすみません……。