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broken pieces  作者: 波丸
プロローグ
6/8

友達は中身で決める派

止まった……。

Kについて、ほんの少し説明できたかなぁ。

 

「よし、んじゃホームルームは以上な。今日は解散。明日からサボんじゃねーぞ」


 新城先生はそう言うと、羨ましい限りの長い足をうごかし、教室を出ていった。


 そっか。今日はクラス確認して後日提出するプリント貰って終わりなのか。やったね。入学初日のこのソワソワムード好きじゃないんだよね。これで初日からお昼とかだったら、本当に疲れてたよ。改めて、花が同じクラスで良かった。ありがとう先生方!


 でも、もう12時なんだよね。このまま家に帰ってもどうせ1人だし、お昼、花とどこか行こうかな。


「ねね、陽介さんの妹だよね?」


 今日配られた手紙やらをファイルにしまい、帰る準備をしていると、3人組の女の子たちがソワソワとしながらそばに寄ってきた。


「うん。そだよ」


 やっぱり兄は後輩にも既に知られているらしい。私がそう頷くと、ぱぁぁっと顔が明るくなった。どうやら私は話しかけずらそうな奴だったらしい。


 別に全然そんなんじゃないんだけどな。どちらかと言えば地味っ子達の方と気が合うんだけど。花いわく、なんか見た目が印象強いらしい。


「チョー可愛い!やっぱり似てるねぇ」


「美希、だっけ?1年間宜しくね」


 かわいいって言われた。


 やったね。めっちゃ嬉しい!今までは変なやつ扱いされてきたけど、高校デビューとやらをしてこれからは美人なお姉さまキャラでも目指そうかな。なれないと諦めるのはまだ早いのだよ諸君。私はこの3年間で新たな自分をつくる!


 一方的話される。質問、質問、さらに質問。彼女達は私に答えさせる気が無いのだろうか。

 机を囲まれて、逃げ場もなく私は3人の問を聞き、心の中で返事を返してあげる。


 だが、流石になれた私でも限度というものは存在するわけで。



「陽兄って、やっぱり人気者なの?」


 結局はその3人の話を、私はすべて左に受け流す。サヨナラ会話たち。二度と会わないことを願うよ。


「へ?う、うん。そりゃKのリーダーズのひとりだもん」


 3人の中でもホワホワしていそうな女の子が困ったようにして頷いた。ホワホワって言っても、チャラさはあるけど。

 ん?初めて聞いた単語が出てきたな。りーだーずとは一体なんだろう。なんかネーミングセンス無いけど。厨二病にしても出さすぎやしないかい。


 それよりも今、何やら聞き逃せない言葉が。


「何の1人っ言った?」


 がしり、と音が鳴るくらい、教えてくれた女の子と肩をつかむ。



「もしかしてぇ、篠村さん知らない系?」


「陽介さんから聞いてないのか?」


 え、なんで『K』について知らないだけでこんな反応されるんだろう。もしかして、私が知らなさすぎるだけでかなり一般常識なのかな。


「陽兄変に私に過保護な所あるからなぁ。……で?」


 ホワホワした子以外の子が驚いた顔をしてこちらを見ているが、私はそんなことよりも早く疑いを晴らしたい。だって、確かに学校のお偉いさんだとは行ってたし、そんな雰囲気はあったけど。


 兄が、あの不良グループの一員だって?


 彼女が言ったことが、私の空耳であって欲しいと願う私の心情を、3人はことごとく砕いていく。


「Kのリーダーズ。つまり、この学校全体のトップグループの1人だよ」


 そう言って、無知な私に3人は丁寧におしえてくれた。


『K』とは。

 この学校を統括しているグループのことで、他校とのいざこざや、この学校の生徒が問題を起こさないようにしたりする、いわばちょっと厳つい生徒会のようなものらしい。不良集まりかと思ったが、意外なことに規則も厳しい。各学年で『K』に所属できるのは20人まで。つまり、志願して必ず入れる訳では無いのだ。

 だから、ヨザ高のK、と言うだけでもこの不良の世界じゃかなり凄いことらしい。年々不良ばかりが入学するのも、Kに憧れた奴らがこの高校に入るのからだとか。今まで普通の中学生だった私には、理解不能な世界だな。


 幹部、つまり様付されていた人たちはどうやって決めるのかと聞いたら、『K』全体の投票で決まるとか。もちろんその時の幹部の意見が最終決定だけど、でも殆どが満一致。今の代の幹部は特に、反対する人が誰もいないというとんでもない人らしい。


 その幹部たちの総称が、『リーダーズ』というのだ。


 現リーダーズは全員で、5人。


 3年の鈴原怜、一条和馬、我が兄の篠村陽介。


 2年の吉野広弥、中本瑛太。


 なんと、私が『仲の良いとても目立つ兄の友人達』と思っていた人たちは皆お偉いさんだったのだ。


 わぁ、びっくり。


 妹の私からすれば、我がお兄様はそんなに大それた人ではないんだけど。容姿がいいことは認めるけど、他は別に目立つようなことはないと思う。でも、みんなからの憧れや尊敬の目は確かに本物だから、否定する言葉も出なかった。


「それ、まじなの?」


 代わりに出たのは、そんな情けない声だけ。


「大まじだよぉ!」


 私の心情も知らず、金髪のギャルさんはそう言って私の肩をバシバシと叩く。割と痛い。


 陽兄も陽兄だ。こんな重大なことを妹の私に隠してたなんてけしからん。皆知っているのに家族の私が知らないとか、ショックなんですが。


 だってそれが本当だとしたら、今朝言っていた用事とやらもKのことじゃないか。確かに、前々からたまに言葉を濁すから怪しいとはおもっていたけどさ。あ、だから少し複雑そうな顔をしていたのかな。妹に心配かけたくなかった、とか?


 何となく陽兄が考えていそうで無意識に口から息が零れる。


 陽兄は重要なことは周りに言わないからなぁ。私が心配するようなことするのかな。不良らしく、喧嘩でもするのかな。中学の頃から少しづつ不良かしてるとは思ってたけど、高校生になって本格的に覚醒したか。と言うか、高校にそんな有名になるような組織があるなんて、高校生ってすごいな。


「あれ?」


 ふと、漏れてしまった言葉は、幸い誰かに聞こえることは無かった。いま、心になにかが引っ掛かった気がしてつい首を傾ける。なにか気づいてはいけないような、そんな感じの違和感だった。





 もし、陽兄が高校生からKに入ってるなら。



 あの時(・・・)も、彼らといたのだろうか。



 私を、ヒトリニシテ。





 ふと、どろりとした暗闇に飲まれそうになると、私を囲む子たちが面白がるように私を見ていて、意識を戻した。3人が私を少しバカにしている感がムカついてムスッと表情に出すと、周りからは面白い、と笑われる始末。


 もう、入学早々キャラ固定されてるんですけど。


「陽介さんって案外シスコンなの?そこまで無知なのって、陽介さんがわざわざ知られないようにしてるとしか思えない」


 茶髪の可愛い子が、見た目よりもストレートにそう聞いてきた。その子の言葉を思い返すとさり気なく私を貶してた気がしたし。ホワホワしてると思ったけど、実はかなりサバサバしてるのかなこの子。


「さぁ〜、普通じゃない?仲はいいと思うけど」


 ていうか私はそれを普通だと思っているから、シスコンだとしてもあまり実感しないというか。それに慣れているから別に気にしない。それに、シスコンってことは私を大切に思ってくれてるって事だし、むしろ嬉しいくらい。


「あ、嬉しい顔したな」


「ははっ、そっか。こっちもこっちでブラコンなんだね」


 質問したのに、勝手に納得して話を終わらせてしまった。茶髪の子はその隣のボーイッシュな女の子と顔を見合わせて呆れた顔を向ける。


 いいじゃんべつに。兄妹のラインはこえてないんだし。むしろ仲のいいことは褒めるべきでしょうに。


「なんか、篠村っておもしろいな」


 そんなことを思っていると、聞こえたのは女子ではない低い声。


 女子だけのはずだったのに、いつの間にか近くで聞いていた男子がニヤニヤ笑いながらこちらに近づいてくる。その感じは明らかにからかいがいのあるやつを見つけた顔だ。


「それ、褒めてるの」


 嬉しさが全然無いんですけど。


「もちろん。親しみやすいっつーか、気取って無い所とか」


 もっとからかわれるのかと思ったけど、彼はほんとに褒めていたっぽい。だってキョトンとした顔で私のことをイイ奴認定してきたのだ。


 と言うか、きどる?なんで同じクラスの人に偉そうにしなきゃならないの。凄いのは陽兄であって、私自身は結局何にもない生徒に過ぎないのに。


 そう思うのに、私を囲う人は次々に共感し始めて、私はそれに目を見開く。


「あ、私も思ったぁ。妹だからって媚び売ってないし、そもそもKも知らないしぃ」


「あははっ!言われるとそうかも!」


「もっとわがままで偉そうな子想像してたぁ」


「俺らのこと見下すとか?」


 Kについて余程私が知らないことが新鮮だったのか、金髪の子と茶髪の子はケラケラと笑った。男子達も、それに便乗して好き勝手私の第一印象を語りだす。だけど、そこには嫌味とか、悪気とかはなく、ただ純粋に面白いとか、全然印象と違うとか思ってくれているだけだと思う。


 男子達については好き勝手言い過ぎてたので軽く睨んでおいた。震えていたけど知ったことじゃない。悪いのはお前達だ。


 そんなこんなで話しているうちに、私はどうやらギャルさんたちに認められたようです。はて、何故だろう。これということは何もしていないんだけどな。


 まぁ、私は昔から、こうギャルっぽい人と仲良くなることが良くある。陽兄関係が殆どだけど、なんだかんだ言って悪い関係ではない。私があまり面食いではない所が幸いしているのかも。私自身も、別にギャルが嫌いな訳では無い。見た目で決めるのは私が一番嫌いなことだし、関わるといい子達ってことも知ってる。現に、初めは陽兄のことを聞いてきたけど、いまはその事ではなくて私自身の事を聞いてくれる。ちゃんと、篠村美希に接してくれている。計算高いいい子ちゃんより、私はこっちの方が好きだ。


 たまに自分たちのことで精一杯になることもあるけど、私からすれば可愛いなと思えるから。


「えー、と。名前聞いていい?」


「アタシ美音!須藤美音。フツーに名前で呼んでいいよぉ」


 このよく話すモデル体型の金髪イケイケ系が美音。


「うちは穂波舞花。苗字が名前っぽいから、中学だと皆ほなっち、って呼んでたかな」


 で、少し毒舌を感じさせた茶髪のカワイイ子がほなっち。


「ウチは岡田理央。テキトーに呼んでくれていいよ」


 ボーイッシュでショートの髪なのが、理央。


 よし、覚えた。


「改めて、篠村美希です。3人ともよろしくね」


 私は私自身に興味を持ってくれたあなた達と仲良くしたいと思った。



ほんとわかりづらい文でごめんなさい!!

そんな文でも読んでくれている方に、心からの感謝です。

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