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broken pieces  作者: 波丸
プロローグ
5/8

危険分子1

やばいよやばいよ。

不定期に更新するけど、不定期すぎて自分でもコントロール出来ないよ笑

 新城俊二。年齢は23~26歳位だろうか。一応教師ということもあり、顔に似合わず黒髪だが、程よく遊ばせていてむしろ色気が増しているような気がする。何故入学して間もない1年生がこんなに騒いでいるのかと言うと、彼はとある有名人なのだ。それも主に陽兄関係で。確か、元Kの幹部らしく、生徒達の間ではかなりの人気でカリスマ?だとか。容姿もそれにあってかなり美形。


 陽兄とは少しタイプの違う……ちょっと怖い感じだけど。うん、まぁ騒ぐのも少しわかる気がする。高い身長に小さい顔。元、なのかは不明だけれど、一応Kと言う不良だっただけあって細マッチョだし。


 そんな彼が、私の担任なのだ。

 平穏?なにそれ美味しいの状態だ。

 高額で買うから誰か「平穏」を売って!!


「はぁ……」


 ため息をついたら幸せが逃げるっていうけど、そもそも逃げてるからつくものだよね。

 全く。どうして入学早々こんなため息なんてつかないといけないんだろう。もっとこう、『ウキウキ! なキラキラ青春ライフ』を想像してたのにぃ。その貴重な時間かえせ誰でもいいから。


 と、いうか。


 私のキャラそもそもボケ担のはずなのに。何でだし!もっと面白いことしたいし、目立ちたいのに担任が1番目立つとかなんでやねん!


 いや、だからといって陽兄みたいに悪目立ちは望まないけどね。でもなんかさ、漫画とかである「わぁ、あの子かわいい」とか「あの子、陽介先輩の妹らしいよ? 」とかあって欲しかったよね。それを、不真面目な高校のくせにちゃっかりホームルームの10分前に教室に来たモテモテ教師のせいで壊された私って。

 あ、でも無かったかもしれないけど。どうせ、私の知名度なんてたかがしれているし。そういうのは、選ばれた主人公みたいな子がされるものだしね。


 ……いやいやいや!ともかく、私の理想を崩した罪は。


「万死に価するっての」


「は?」


「だからぁ。あの教師のこ、と……」


「……?」


「ごほんっんんっ!何でもないから」


「あ、そ」


 ……突然隣からの奇襲があった。え、なんで急に。だって、さっきまで寝てたよね君。


 起きていたのか、そして聞かれたよね。かなり野蛮な発言を思わず漏らしてしまったけど、気づかれないと思っていた所にまさかの赤髪くんの声が出現した。これは予想外すぎて、恥ずかしい。



「んじゃ、自己紹介だな」


 赤髪に独り言を聞かれて、恥ずかしがる私を気にすることも無く、このクラスの担任は少しかったるそうにしながら教卓に手をついた。


 気を取り直そうね、私。


「俺は新城俊二、年齢は想像に任せる。1のAの担任になった。科目は化学を担当してるから文系の奴らとは今年だけの付き合いだけど、よろしくな」


 生徒達はみんな新城先生にキラキラとした目を向けている。確かにかっこいい。そのくずして着ているスーツは教師としてどうかと思うけど、似合っているからなんとも言えない。


 そして、第一印象としては兄貴分って感じで、男子からのウケも上々。すぐにクラスの生徒達をたらしこむなんて、流石だ。これこそが選ばれた人間か。


 私もその芸能人的オーラを受けて暫く先生をガン見していたが、そんなことに慣れている様子で、先生は新学期恒例のクラス自己紹介を提案した。これは16年間生きてきて、学校では避けられない試練の一つ。


 なんて言ったって、この自己紹介でクラスの立場や他の子への印象が決まるからね。特に女子。ここで、いい感じに目立たないポジを取らないと、後々面倒な事になりそうだし。ほかの学校はともかくこのヨザ高では特に、ね。



 順番は、出席番号ということになり、私は『し』なので少し考える時間が与えられた。良かった。あとは、トップバッターの人がどうか変な流れを作らないことを祈ろう。



「青山夏帆です。部活はテニス部に入ろうかなと思ってます。よろしくおねがいします」


 トップバッターの青山さんは丁寧にお辞儀をして席についた。この学校にもあんないい子いるんだな。なんか安心した。


 お次は、我が愛しの花火様。


「天野花火です。猫が好きです。宜しくお願いします」


 淡々とした、花らしい自己紹介。一部の男女が見とれるのも仕方がない。ほかの人と違って、薄い化粧なのに顔がはっきりしてるし、染めたことのない黒髪がサラサラと動く度に揺れている。


 こんな美人さん、ほっとけないよね。分かるよ。私もそのひとりだもん。


「おれは蔵地っす!この学校に来たのは、Kに憧れて……」


 はい、出ましたKー。せっかくいい感じに普通の自己紹介してたのに、ここにきてKの不良君が現れた。聞く話によれば、まだ入ってはないみたいだけど。


 まぁ、大体こんなやからばっかだけどさ。


 せっかく青山さんからの人たちが普通にしてくれたのに、その流れが切れちゃったよ。山地君に限らず、自己紹介をする男子はところどころでKという名前を出していく。終いにはなんと女子のファン宣言まで。なんだこれ。


 てか憧れってなんで、と思うのは私だけなのだろうか。だって一言で言うと不良だし、世間からはいい目で見られないし。そもそも勘違いしてる人多いと思うけど、Kは別に正義でもなんでもない。この学校を治めてるやばい集団なだけだ。


 どうしてみんなそんな不良に憧れるのか、わからない。


「……い、ぉ……の、……おい」


「んー」


 なんだよ、考え事してるんだからほっといてよ。


「次お前だけど」


 はいはい次ですね。ん?次だって言ったこの赤髪。


「へ?」


 自分でも予想しなかったほど間抜けな声が出てしまった。


 前を見ると先生がこちらを見ている。あ、てか睨まれてる感じだ。


 どうやらくだらないことを考えているうちに自己紹介の順番が回ってきたようだった。見た目不良だけど、教えてくれるなんてこの赤髪案外イイヤツかもしれない。私の中でこの不良の好感度がかなり上がった。


「篠村美希です。これから1年間宜しくお願いします」


 篠村の名前を口にしたとたん、視線が一気に集まる。なになに。さっきまであの人とか興味無さそうにしてたのに。そんな驚くような自己紹介してるつもりないんだけど。たった一言だけだったのに、教室 はザワつく。


「あれって、陽介先輩の?」


「やっぱり兄妹揃って美形ー」


「でも、意外と大人しそう」



 あーあー。みんな下心全開じゃん。ていうか気づいてなかったんかいっ。

 なるほどね。だから教室に入ってきた時は何のざわめきも無かったのか。私の知名度もそんなもんなんだな。それでも、陽兄に妹がいることは知られているらしい。


 つまり、結局は皆『妹』として私を見るのか。私じゃなくて私の名前に興味を示したんだ。この好奇的な視線も、これからくるであろうお友達のお誘いも。


 全部そこには兄を期待する感情が混ざってる。


 それなら、視線の集まり具合にもなっとくかなぁ。中学から慣れっこだしそこはいいんだけど。


「ちょっと、期待してたんだけどな」


 私自身と接してくれる、花みたいな子がいることに。




 自分の自己紹介終わり暇になったので仮眠でも取ろうかな、と席についた。拍手は割と多め。これも媚を売られてるんだろう。そんなことしたって、邪な気持ちの人とは仲良くしませんよ。そこまで私は人に飢えてないもん!花がいればいいし。


 あ、花がくしゃみした。風邪ひいたのかな。


「じゃあ、次」


 私が座った野を確認して、先生は視線を私から外した。クラスメイトも、切り替えは早いようで、次の人の品定めに入っている。

 先生の言葉で私の次の人が席を立った音がした。




 ―――刹那、空気が変わる。


「千堂夏鈴。」


 透き通る声は、何にも媚びないどこか冷たい音がした。


 今まで適当に流していたはずなのに、彼女の声は心に響く。思わず眠りそうだった目を開きその方向を見ると、そこに立っていたのはこの学校では珍しい黒髪の女子生徒。


 とても、はかくて美しい。


 彼女の第一印象は、そんな感じだった。


「え、と。他には?」


 見かねた先生が千堂に尋ねる。


 周りを凍らせるようなその声に、どこか浮ついていた教室の空気が、真冬のように静まり返っていた。


「別にない。」


 バシッ。かなり強めに聞こえたその言葉は、教室の空気をまた凍らせた。


 先ほどとは違う意味で。


 一瞬の静寂のあと、それぞれが小声で話だし、結局ザワザワと私の時とはちがうきつい雰囲気に変わった。


「なんか生意気」


「美人だけど、怖くない?」


「てか、目ぇ青くない?カラコンいれてんじゃん。似合ってないし、キモくない?」


「うわっ、美人ー。クール系女子って奴だな」


「オレあの子狙おっかなぁー」


「バーカ、相手にされねぇよ」


 みんな口々に好き勝手言い出している。彼女の自己紹介はおもに悪い方でクラスに影響してしまったのかもしれない。でも、人ってこういう時だけ謎の団結力を発揮するから不思議。


 まぁ、女子と男子の差が多少はあるけど。


 担任の新城せんせいは、周りの反応を気にせずにいる千堂さんをみて溜息をついていた。でも、その視線はどこか心配そうな色をしていて、そこが少し気になった。


 当の本人はと言えば、肘を片方机について、つまらなそうにどこかを見ていた。そんな仕草すら、周りに花が咲いたようにして見えるほど、彼女の容姿は浮世絵離れしているように思えた。


 ……彼女、Kに好かれないといいけど。


 根拠はないが、この胸のざわめきは十中八九良くないことが起きる時。平穏を望む私にとって、もしかしたら千堂さんは要注意人物かもしれないな。


 その後の自己紹介には特に興味も湧かなかったので、気まぐれに机に伏せて横を盗み見た。決して、あの赤髪が気になったとかではない。ここ重要。それに彼のことだ。どうせまた寝てるに決まって……。



「茶髪のロングに、青い目の女、か」


 ボソリ。


 驚いた。いや、彼が起きていたことにも驚いたのだが、それだけじゃない。


 赤髪は明らかに千堂さんに目をつけている。


 先生の反応に少し疑問を感じていたところに、これまた 気になる発言をした赤髪。それはとても小さくて、隣でも辛うじて分かったくらいだけど。


 あの、赤髪が呟いていたのだ。


 今まで全然自己紹介に興味を示していなかっただけに、彼女には異常な程に反応している。知り合い?そんな関係ならもっと優しい目をしているはずだ。もしかすると、私の嫌な予想があっているのかもしれない。


 彼が、既にKの一員なのだとしたら。


 実力階級この学校では、入学前からKに入っていてもおかしくはない。


 やはり、千堂さんには近づかないようにしよう。


 私は彼の目を見て、そう思った。


 隣の赤髪くんは、未だにあの狂気的な視線で千堂さんを見つめていた。その顔が不思議と愉快そうに見えたのは、私の気のせいだと思いたい。







Kの人たちのこと何も触れていないと気づいたので、次回はその変の紹介も出来るもいいと考え中です。

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