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熊本地震  作者: icecrepe
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月曜日からは仕事です。

悠長に避難を決め込んでいる場合ではありませんでした。


それに私は避難所の生活に二つの懸念を抱いていました。

一つは盗難です。一人暮らしの私を護ってくれるのは残念ながら私だけです。浅ましい考えですが、複数人によって荷物を取られてしまったら反証は困難でしょう。

もう一つは病気です。既にお医者様からOKをいただいていましたが、私自身、少し前までインフルエンザで臥せっていた身です。何かの拍子で風邪を引いてしまうかも知れませんし、逆に妙な菌をばら撒いてしまうかも知れません。


この時点で私が避難所に残るメリットはありませんでした。それに私一人分のスペースが空けば誰かがそこに身を横たえることができるでしょう。

思うところは色々ありましたが、私はひとまず避難所を後にしました。


揺れはずいぶん少なくなっていました。

大分へ震源が移動しているという話も聞きましたし、孤立している人々の話も漏れ聞こえてきます。

状況は当初に比べるとずいぶん変転しているようです。


途中であの公園をちらりと覗きましたが、テントらしきものはありませんでした。皆、本来行くべき避難所へ移動したか、自宅もしくは誰かの家へ避難したのでしょう。


私はマンションへと戻りました。

オートロックが復活していたので鍵を挿してエントランスへ入ります。エレベーターは上層階へ移動しており、誰かが使った形跡があるのですが、私は階段を使いました。私が臆病なのか、エレベーターを使った人々が度胸があるのかは分かりかねるところです。


部屋についた私は会社の人間と連絡を取り、親とも連絡を取りました。

どうやら地震被害は拡大しているようですが、自衛隊の救援や民間レベルでの救助活動もスタートしているらしく、徐々にですが状況は良くなりつつあるようです。

私の身の回りに限って言えば、当座の問題は食糧と水でしょうか。

そんなことを考えながら蛇口をひねると、普通に水が出ました。お昼過ぎのことでした。


私は大喜びで浴槽に水を張り、トイレにも水を流しました。

ついでに髪も洗い、顔も洗うことができました。

ライフラインの復旧を嬉しく思う反面、真に「被災地」と呼ばれるべき地域の方々へ水が行き届いていないことが歯がゆく感じられます。

市街地の復旧の早さは目を見張るものがありましたが、本当に救われるべき方々はまだ大勢いることでしょう。


浴槽を水でいっぱいにした私はポットに水を入れていたことを思い出し、ラーメンを食べました。

久しぶりの炭水化物は胃に沁みるようでした。


それからは食糧を求めて辺りをふらふらしていました。

避難所で思い知ったのは私の備蓄量の少なさです。他の避難民の方々は山ほどの食糧を抱えているようでした。


ずいぶんあちこちを歩き回りましたが、コンビニは閉じているか、開いているけれど空っぽのどちらかのようです。一部スーパーは自主閉店しているようでしたが、開いているところもあるようです。この辺りの判断は企業によってまちまちのようなので、地域によっては比較的容易に生活必需品を手にすることのできた方もいらっしゃるかも知れません。


とは言え、私は食糧を手にすることができませんでした。

やむなく部屋へ戻りかけたところで、個人経営の食事処を見つけました。


驚いたことに「営業中」でした。


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