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R10 屋上退散

 国語教師が全裸で過ごすようになって3日経った。

始まりは屋上に住むガチゲイの幽霊、ガチさんの一言だ。


 「先生って、閉所で力が覚醒する人造人間なんでしょ?洋服ってある意味閉所じゃない?」


 屋上が爆発した。


 

 「でもすごいよね、あの爆発から生き延びる人間がいるなんて思わなかったよ」


 「こちらもいきなり先生が爆発するとは思いませんでした」


 屋上係と国語教師はお煎餅を食べながら、屋上が修理される様を眺めている。ガチさんがいたら作業員のお尻を見ているだろうなあ、と国語教師は笑った。


 「それでガチさんの行方は分からないままなの?」


 「どうでもいいので探してないんです」


 「そうかあ、僕が全裸じゃなければ探したんだけどなあ」


 「本気ですか」


 「これでも一応教師だからね、柔道部の下半身を守りたい」


 屋上係は感嘆した。この人全裸ですごいこと言うな。


 「まあでも、3年の寺の息子が頑張ってくれるよね」


 「いえ、校内お経スプレー騒動の後、住職によって霊峰の中腹にあるご神木に縛り付けられているらしいですよ」


 「スパルタの極みだね」


 そのうち寺の息子が幽霊になって登校してくるだろうって専らの噂です、と屋上係は笑った。


 「まあ我が校には3年に神社の娘もいるんで大丈夫じゃないですか」


 「女の子じゃガチさん近寄らないでしょう」


 「どうでもいいじゃないですか。柔道部とはお札の継続購入の契約を交わしましたし」


 「きみ、きみたち、もしかして」


 「先生が屋上で力を覚醒しなければ、寺の息子が執念で書いたお経結界が壊れることはなかったんです。それを分かっていて、何かご用がおありですか?」


 屋上係は湯飲みで暖をとるように両手で持ち、微笑んだ。


 国語教師は無言で校長の名前入りボールを3個買い、グラウンドに向けて投げた。

当たり屋たちは群がってボールを追いかけたが、人造人間が放ったボールの威力に十数人の人間がなぎ倒されいく。此度の慰謝料は大台を超えるだろう。


 「人とは醜い蛆虫だ」


 「それでこそ人造人間です」





「ところで授業はどうしてるんですか?」

「なんのために教卓があると思っているんだい」

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