19/19
18エピローグ
とくんとくんと命の音。
目を開けば茶色い天井。
体を苛む激痛に身を縮める。
痛みを緩和する薬は取り上げられている。
痛い痛い痛い。
ぼくは正気?
死ねない体を抱えてぼくは一つの部屋から動けない。
ここは死の国。
流転してゆく人の生き様をただ見守ることしかできない。
そんな中、ぼくは死ねない。
死にそうになっても死ねない。
ぼくは不死。
死の国において不死。
死ねない死ねない。
命の世界にぼくはいけない。
閉ざされた世界。
痛みで閉ざされた世界。
ずるずるとただ生きる。
気が、つかなければよかった。
知らないままでいればよかった。
きっといつの間にか入れ替わるまわり。
知らなければ。
知ろうとしなければ。
こんな苦しみもなかったのに。
手放した君はとおく。
届かない。
痛い。寂しい。
支配者の名を持つぼくは何もできない。
幻環『不死』と同じもの