14数年後
彼女は茶色い髪を揺らし、ぼくに抱きついた。
さっぱりした装い、白と紺を基調にした衣装は涼しげで機能的。
「お帰り。ラモーナ」
「ただいま! おにいちゃん!」
無邪気な笑顔でぼくの頬にキスをする。
元気なぼくの妹。
ラモーナ。
数年前までの病の影は消え、健康そのものの妹。
ぼくは妹を強く抱き締めた。
元気だった。
元気になったんだね。ラモーナ。
=現実に還るのが遠のいたんだね。ラモーナ=
ヴィエがそっと囁く。虚ろな瞳で。
……!
黙れ!
…………ヴィエを、ヴィエを……返せ……!
ぼくはお前なんか見たくない!
=リック・クレイン。真実を求めたのはお前。優しい保護者を封じたのはお前。真実を、求めなかったのはお前。それが現実=
ヴィエが淡々とそう告げる。
つらい。
つらいよ。
どうして?
ぼくはどうしてこんなにつらいの?
苦しいよ。
くるしい
ああ、ラモーナ……。
君はいま、しあわせ?
ポイント。
ぼくはその言葉を考えてみる。
ポイント、要点。大切な箇所。
さだめ……これはわかる。
きまりや運命おきてだ。
ここは大切な場所で、ぼくは決められたもの?
何を?
ここにあるモノ……。
ぼく、セオドーラ・レギス先生・それからこの家、そして地下室のBB。
何がポイントたる条件なのか?
そしてどういう理由を持ってぼくが定められたのか。
共通項を探すと、セオドーラの干渉と、BBが残る。
セオドーラは全部知ってる。
ぼくの知ってる事も知らないことも。
そしてずっとここにいる。
=考えるだけ無駄だ。お前が望む真実しか見えない=
ぼくは
ぼくは
シンジツヲノゾンデイル
それでも答えはない?
なぜ?!
―――さぁ、御覧なさい―――
……??
ヴィエ?
白い風が視界を覆う……