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はじまり、その前に
――暗い。
その場所はどこまでも暗く、一切の光さえ差し込まない。
ただひたすらに真っ暗、音もわずかに聞こえるだけで、ろくに五体の満足も利きはしない。
もう上も下も分からない。
いつから自分はここにいるのだろうか。
いったい、ここはどこなのだろうか。
いったい、なんのためにここにいるのだろうか。
――声が、聞こえた。
出ておいで、と。
出なければいけないの?
ただひたすらに真っ暗で、何も感じることのできないこの世界が心地いい。
――もう少し、ここで眠っていたいのに。
ここは、こんなにも暖かくて気持ちがいいのだから……
そして、僕はもう一度目を閉じた。