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140字小説
【気のせい】
走る半身のライダーも、
交差点の血まみれの幼児も、
時々押入れから覗いている男の子も、
電車に乗ってくる首のないサラリーマンも、
全て彼女は気のせいだと思いたかった。
なのにあなたたちはどうして私に憑いてくるの?
ウフフ、笑っちゃう。
バカみたい。アハハ。
白い壁と鉄格子のドアが彼女を捕らえた。
【ご馳走】
今日は何の日だっけですって?
何の日でもないわ。
すごいご馳走でしょ?
この肉?
何の肉だと思う?
当ててみて。
牛?違うわ。
鳥?違うわよ。
この世で貴方を一番愛しているのは私よ。
なのに、あなたったらジュリーばっかり可愛がって。
本当に犬好きなんだから、貴方ってば。
どう?美味しかった?
ジュリー。