後ろの志村
即興小説に投稿したヤツです。ふざけてごめんなさい。
俺は志村という名前というだけで、小さい頃からさんざんとからかわれた。
「志村、後ろ、後ろ!」と言われ俺は振り向く。
すると何もない、という不毛なイタズラに最初は悩まされていた。
最初の頃はからかわれているとも知らずに、後ろを振り返っていた。
それもあまりに執拗にやられるのでもう慣れてしまった。
だから、俺は、志村、後ろ後ろ!と言われても振り向かなかったのだ。
その日はいつになく、激しく同級生達がはやし立てた。
「志村、後ろ、後ろ!!!」
俺はまたはじまった、と思ったのだ。
あのコメディアンのせいで。なんで同じ名前なんだよ。
毎度おなじみのセリフ。あれは、志村が発した言葉じゃない。
志村が後ろに何かがいるのに気付かないから、会場の子供がはやしたてたのだ。
「志村、後ろ、後ろ!」
俺にとってはどうあがいてもセリフに過ぎず、本気にはしなかったのだ。
「てめえら、いい加減にしろよ!そんなのにいつまでも俺が引っかかるとでも・・・。」
俺の背中に衝撃が走った。何が起こったのかわからなかった。
衝撃のあったあたりを手で撫でると手が真っ赤に染まった。
そこで俺は初めて事態を把握した。
後ろを振り向くと20代くらいの若い男が俺の首を切りつけた。
何かわけのわからないことを喚いていた。通り魔か?
俺はその場に崩れるように倒れると、周りは阿鼻叫喚となった。
なんだよ、今日はホントだったのかよ。
それからというもの、俺は俺を「志村、後ろ後ろ!」とからかい続けた奴らの後ろを
交代で憑いて行った。
「ちょっ!おまっ!後ろ、後ろ!志村!」
今度はお前らが、このセリフを言われる番だぜ。
ドリフターズコント(志村後ろ)
参考URL http://www.youtube.com/watch?v=zr7Kf2dClZY