ステーキの代償(400字小説シリーズ)
この話は「怖話」の掲示板に投稿した話です。
http://kowabana.jp/boards/100049
お題「嫉妬」「ステーキ」「温泉」「湯舟」「声」「痛ケーキ」「ゴスロリメイド喫茶」「橋」
きっかけは彼女が川向のマンションに住んでいたことだ。
彼女はいつも几帳面に洗濯物を干し、遠目に見ても美しかった。
俺が彼女の姿をベランダからいつも見ていたので彼女もいつしか気づいてしまった。普通ならここで気持ち悪い人で終わりになるものだろうが、俺達は川を挟んだマンションに続く橋で出会ってしまった。
「いつも見ているの、知ってますよ?」
俺は恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
その日から俺たちは仲良くなり、お互いの部屋を行き来する仲になった。
ところが彼女は俺が行き付けのゴスロリメイド喫茶で似顔絵入りの痛ケーキをもらったことに嫉妬して俺を責めたのだ。俺は彼女と喧嘩をして、激昂してつい、湯舟に彼女の顔を何度も押し付けてしまった。彼女はステーキにして食べた。
風呂は温泉付きだが俺は寒い冬にも関わらず、シャワーしか浴びることができない。
湯舟から彼女の声がし、張ったお湯に彼女の姿が映るからだ。
拙者も温泉付きマンションに住みたいでござる。
温泉地に行くとそのような物件もあるらしい。