最終兵器
「エマージェンシー、エマージェンシー、こちら怪獣迎撃部隊機1号!」
「どうした、何があったんだ!」
「帝都ビル前にガッジラ出現!予想以上に大きな個体です!至急応援願います!」
「よし、わかった!厚木基地より、応援機を向かわせる!」
その後、何機かの機体が飛んできて応戦したが、ガッジラにはまったく通用せず、被害は甚大になるばかりで、焼石に水だった。
「隊長!こうなったら最終兵器を使いましょう!」
対怪獣対策本部隊長、Nは迷っていた。
あの最終兵器を使えば、ガッジラを倒せるかもしれないが、リスクは大きい。
もしかしたら、私たちにも危険が降りかかるかもしれない。
「よし、わかった。住民は、皆シェルターに避難したか?」
「ええ、一人残らず。」
S女隊員が答えた。N隊長は、S隊員とは幼馴染だ。ひそかに好意を寄せていた時期もあった。
「S夫!すべての住民にヘッドフォンを用意するんだ。気密性の高い奴だ。なければ耳栓でもいい!」
NはS夫隊員にそう告げた。
「つ、ついに、あの最終兵器を使うんだな?N。」
S夫の喉がごくりと鳴った。S夫も、Nの幼馴染で腐れ縁だ。長い前髪をきざに横に流している。
「よし、じゃあ、頼むぞ、G。すべては君にかかっている。」
「おう!任せろ!」
そしてGも幼馴染だ。豪快な性格で、幼いころはNはGにいじめられていたこともあったが、今は友達であり、この対怪獣対策本部には欠かせない存在だ。
隊員全員が、高気密のヘッドフォンを耳に当て、思いっきり上から押さえつけさらに気密性を高くした。
「よし、じゃあ、行くぞ!」
皆が、Gの掛け声に息をのみ、あるものは目を閉じた。
「おぅ~れぇはぁ~」
その音で、本部の窓がすべて割れ、悲鳴があがった。
「じゃいあ~~~~~ん!」
地響き、空気が震える。ガッジラが苦しそうに耳を抑えた。
「がぁっきぃだいしょおおおおおおおお!」
爆風がガッジラを吹き飛ばす。ガッジラが倒れて送電線に接触し、鉄塔が倒れた。
「おぅ~れはぁ~」
大音量でスピーカーからガッジラを攻撃するその歌は、最終兵器、「リサイタル」
「じゃいあ~~~~~~~ん!」
ぱぎゃおおおおん。
耳を抑えてのたうち回るガッジラ。
「がぁっきぃだいじょおおおおおおお!」
倒れたガッジラの頭部を一斉攻撃。頭部が爆発した。
「やった!やったぞ、じゃいあん!」
「おい、のびた。もうそのあだ名はやめてくれよ。」
そう言って、ゴウダは照れた。
「じゃいあんだって。俺のことのびたって言ってるし」
野比は笑った。
こうして、ふたたび、この街に平和が訪れた。




