Ranate Esutate
──何もない。目の前に広がる広大な砂漠。
そこに立っているのは…自分独りだけ。
「──ッ!!」
俺は飛び起きた。また、あの夢に魘されて。
「また…かよ…」
この夢を見た後、ひどい頭痛に襲われる。立つのもやっとのくらいだ。
「クソッ…」
壁に手を当てながら、俺は外に出た。
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俺は…赤き盗賊団に来るまで、生きた心地がしなかった…
突然発覚した力のせいで、親に捨てられ、施設で変な実験ばっかりされ…
…いや、思い出すのはやめよう。今は一端忘れよう。
「ラナーテ、こんなとこで何やってるんだ?」
「…いや。なんでもないさ」
…意外と、自分の好みとかも分かってきたしな。
「…私の顔、何か付いているのか?」
「え…? い、いや。そんなことないが?」
「? 変な奴だなー」