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第7話:眠り姫ならぬ眠りの誰か

「ねえ、セブンス。何があると思う?」


 姉妹たちがゼノ・グラウンドの岩盤を掘り進めていくために、管制室で指示を出していたセブンスだが、何故か純粋に一番力があり、最高率で掘り進めることができるファーストが声をかけてきた。

 

 また、サボりかよ。


「そんな目で見なくてもいいじゃない。ほら、前に話したキャラ設定を思い出して、思い出して!」


 ゴミを見るようなジト目のセブンスに対してもファーストは意に返さない。姉妹で一番の自由人、いや自由人形は伊達ではない。


 ハァと諦めたようにセブンスはため息を吐きつつ、ファーストに質問を意図を聞き返す。

 

「『何が』とはなんですか?」


「まだ、割り切れないか。まあ、その話はまた今度として……決まっているでしょ! この空間の中心部である魔力の集約点。ううん。正確に言えば、魔力じゃないんだっけ。」


「……魔力の定義をどう見るか次第だから魔力でも間違いじゃないかな。だけど、魔力というよりも純粋な……あえて言えば星のエネルギーってところだよ」


 星のエネルギーなんて、ちょっとロマンチックねと、くすくす笑いながらファーストは漏らす。


「それで、セブンスは何があると思う」


 何が……か。セブンスも何も想像せずに調査しているわけではない。管制室で調査している時も、夜眠る前にも考えることはある。マスターとも何があるか実は話したことがある。


 (その時に私が答えたのは、確か……)


 セブンスは、その時のことを思い出しながら、同じ回答をする。


「エネルギーの結晶、つまりは非常に純度が高く、強大な魔石といったところでは」


「うわ、夢も希望も何もない。そして、一番つまらない回答だ」


「……マスターにも同じことは言われた」


「まあ、セブンスに聞く時点で、そういった回答が来ることをはマスターも理解していただろうし。むしろ、お約束みたいなもの? マスターも笑ってたでしょ」


「っつ……」


 まるで見ていたかのようなファーストの発言にセブンスは言葉を詰まらせる。実際にその通りだから言い返すこともできない。


「ファ、ファーストは何があると思っているの? 人の回答をつまらないっていうなら!?」


「図星かな〜? ムキになって可愛い、私の妹!! ラプラスのいう通り、イジ――ううん、話しているとやっぱり意外と感情出しやすいよね 」


「イジリがいがあるというものです」


 好き放題言いやがって。だが、ここでムキになると、より揶揄われるだけ。嫌という経験している。マスターに笑ってもらう分には、ギリッギリ耐えられるが、こいつらは無理。


 フーと深呼吸をして、セブンスはにっこりと作り笑顔をする。


「…………………………それで、ファーストは何があると思っているの?」


 次は物理的に潰す。そのような雰囲気が伝わったのか、ファーストの笑顔が引き攣ったものへと変わる。


「セブンス、ちょっと殺気が本気じゃない。ちょっとした冗談だから。えっと〜私が思うには、幻獣とか?」


「また適当な。どうせ碌に考えもせずに、今思いついたことを口にしただけだろ」


「ひど〜い。でも、セブンスのエネルギーの結晶が一番現実的なのは認めるけど、そういったものじゃないなら、幻獣のような生物的な何かがいてもおかしくはないでしょ?」


「幻獣なら魔物で十分でしょ。会いたいなら、さっさと退治にしにいけば? 龍でも、巨人でも、巨大亀でもより取りみどり」


「最初は見かけなかったのですが……最近は、増加傾向にあります」


 ファーストの幻獣という発言に、セブンスはゲンナリとした表情で答える。その言葉に追従するように、ラプラスも補足する。


 元々、ゼノ・グラウンドには、魔物はいなかったらしいのだが、調査を進める内に魔物が発生するようになったのだ。


 自分達の調査が原因なのは間違いないだろう。そして、魔物の駆除を目的に真っ先に生み出されたのが、ファーストだ。


 さっさと、魔物を駆除するためにパトロールに行けや。


 「そういうのじゃない! もっと、こう神秘的というか、世界を変えられる何かというか……」


 「ファーストの可能性がないとは言いません。しかし、幻獣といった神秘的なものではなく、魔物が力を蓄えている可能性の方が高いのではと推測しますが」


 「可能性の方がをしちゃうと、集約したエネルギーが別の空間に流れているだけっていう最悪の可能性も高いんだけどね」


「私の願望を全否定しすぎでしょ!。このリアリスト共め! 私だって、それくらい分かっているわ!」


 セブンスだけではなく、先ほどまで一緒にセブンスを揶揄っていたラプラスにまで否定されたことから、声を荒げるファースト。だが、幻獣なんて適当な回答をする方が悪い。


「一応言っておくけど、マスターは私と同じような回答だったからね」


 ふふんと胸を張りながらファーストはセブンスに指をビシッと向けながら衝撃的なことを伝える。


 (はい!? マスターがファーストと同じ予想をした? 嘘でしょ!?)


 ファーストの妄想はどうでもいいのだが、マスターとなってくると話は大分変わる。そもそも、


 マスターがエネルギーの集約地点に何か未知の生物がいることを期待しているのなら、それを前提にゼロ・グラウンドを調査することを決心したということになる。

 

 (でもでも、マスターは魔導士。何の確証もなく幻獣……かどうかまではわからないけど、生物的な可能性があるなら、何か確証となるものあるはず! いや、そもそもファーストのノリに合わせただけという――)


 セブンスの脳内で様々思考が走る中で、ラプラスがセブンスよりも先に一番気になる質問をする。


『同じようなということは、全く同じではないのですよね?』


「まあね。ロマンという面では似てわね」


「ロマン?」


 思わずセブンスは聞き返す。その様子にファーストは大きく頷き返す。


「そう、ロマン! マスターも確証はないようだったけど、ふざけている訳でも無かったと思うわ。 直感的なものを感じた」


『それで、マスターはなんと?』


 ファーストは、セブンスとラプラスに対して、それぞれ顔向けて、十分と時間を溜めた上で口を開く。


「『私の運命の人』だって」


 ※


 セブンスが製造されたのは、1300年ほど前。


 マスターが此処を去ったのは、1000年くらい前だっただろうか。最後の姉妹が去ったのは、マスターが去った後の100年ほど後。


 ログを遡れば、正確な時間が分かるだろう。もしくは、ラプラスに一声聞けば、勝手に調べてくれるだろう。


 だが、そんな正確な情報はどうでもいい。


 ようやくだ――ようやく辿り着いたのだ。


 何があるのかはどうでもいい。


 エネルギーの結晶でも、ファーストが言っていた幻獣でもなんでもいい。それこそ、「何もない」でもいいだろう。


 終わりにできればそれでいいのだ。


 だが、そんなセブンスの視界に映ったのは、彼女にとって予想外のものだった。


 不意にファーストが言っていた言葉――いや、その後確認のために、マスターに聞いた予想を思い出す。


 『私の運命の人』


 どこまでも続くような深海を思わせるような、中心に行くほどに色濃くなる蒼いクリスタルと、その中に閉じ込められている人間の男性が目を閉じて眠っていた。

 

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