第4話:魔導人形の1日の始まり
「おはようございます、セブンス」
「おはよう、ラプラス」
いつものように白い部屋から目覚めたセブンスは、いつものようにベッド横で浮かんでいるラプラスに挨拶をする。
そして、いつものようにシャワーを浴び、着替えながら今日の予定をラプラスから聞き、大広間に向かう前に庭園へと足を運ぶ。
「…………」
セブンスは、無言で庭園の植物を見つめる。その表情は、何を考えているかは伺う事はできない。ただ、その瞳はまるで虚無を見つめているかのように光を一切感じないものであった。
そのようなセブンスの様子にラプラスは何かを言う事はない。
数分の間、セブンスとラプラスは無言で庭園の前でたたずむと、踵を返して、その場を後にする。
その後も、無言の時間が続くことになるが、目的地にはすぐに辿り着くこととなる。
セブンスは、軽く息を吸った後に、大広間の扉を思いっきり開け放す。
「おっはよ〜う! 今日も頑張ろう!」
笑顔を作り、明るく、元気に、朝の挨拶をセブンスはする。
そんな彼女をファーストをはじめとした魔導人形達、そして何よりも大切なマスターが――
いなかった。
大広間には、誰も座っていない長机のみ。
かつて、マスターや姉妹達がいた時のように、食事が用意されていることはない。
それどころか姉妹達も、そして何よりも大切なマスターもいない。
いるのは、セブンスとラプラスのみ。
これが、セブンスにとって既に1000年以上続く日常であった。