A4のコピー用紙から
気が向いたら 僕は事務室からA4のコピー用紙を拝借する
人物絵を描くと すべて同じ顔に同じ体勢 僕には向上心がないようだ
でもその絵は 現実にはどこにもいない 僕だけが描ける人
一人満足の行く顔をした絵が描けたら その人がどんな人かを書く
極端に優しい人と 極端に人間に興味を持たない人 僕には想像力がないようだ
その子を中心にして 何かを動かしたら面白いのではと考える
その子を救おうとする子たちが現れる 悲しい人生を歩みがちな主役を救ってくれる人
僕には文才はない 友人は言った『説明文だよね』と
どこかに載せても見る人は少ないのは そういうことなのだろう
だけど 僕はそのA4の紙に人間を書いて 動かすのが好きなんだ
――———だからぼくは、筆は折らない。
気が向きがある限り、きっと思い出したように物語を描くのだろう
あなたの書く理由は、なんですか?