そびえたつスカイツリー(当社比2倍)後半
たったたった、スカイツリーが建った、です
「よーし、おじさんやっちゃうぞー」
俺も三十路をふたつも超えた、由緒正しきおっさんの末席。酔いの勢いでバンバンやっちゃうぜ!
「高い建物と言えば?」
『高い建物と言えば?』
「日本が誇る、スカイツリィィィィ!!」
『どんどんぱふぱふー』
ぐっと拳を握って立ち上がる。おっとふらついた、危険が危ない。体力1だったっけ。
頭にスカイツリーを浮かべてー。うーん、普通に同じものだとつまらないなー。いっそ高さを倍にしてしまうか!
『いーぞいーぞ伊能くーん!』
駄女神様のお許しもでたし、れっつごー!
「おいでませ、スカイツリー(当社比2倍)」
うえーいと両手をあげる。
ぐらんと視界が揺らいだ。陽炎みたいに景色がボヤけて、俺は膝をついた。
「いやなんかキッツ」
ちょっと胃の辺りがミキシングされてる。背中の冷や汗も止まらない。額を地面に押し付けて、唸った。
「んがぁぁぁ!」
耐えきれず仰向けに転がった。
目を瞑ってそのまま、苦しさの波が引くのを待つ。
『まだ慣れないのにでっかいのを創造したからですわ』
顔に、なにかゴワゴワしたものが触れてる。額と頬と、汗がすごいとこをなぞってる。
「なんか酒臭い」
『ちょっと、女神さまに失礼過ぎますわ。わたくし、未婚のレディですのよ?』
うっすら目を開くと、女神様の紙が俺の顔を拭いてるのが見えた。そりゃ酒臭いわけだ。
『まったくもう、しっかりするのですわ!』
女神様の紙が顔からどいた。
「おおおお! やったぜ!」
やさしげな水色の空に突き刺さるように、銀色の塔がそびえたっていた。
ぐだぐだでも進みます