唐揚げを食べる
アキホちゃんのおなかがゴゴゴと鳴った。いい匂いは抗えない暴力DAYOINE。
「ア、アテクシ、アテクシ」
「アキホちゃんも食べよう」
「アアアテクシは生贄ででで」
「俺がいたところじゃ最後の晩餐ってのがあって、おいしいもんを食うんだ」
コンガリ揚がった唐揚げに箸をぶっさしアキホちゃんの口元に寄せる。
「最期……生贄で最期だから……」
「いいから食べる」
ぐっと唐揚げをアキホちゃんの口に押し込む。モガガガと慌てながらもモシャモシャと食べていく目隠れドワーフ。目は見えないけど口は緩やかになった気がする。
「おおおいしいです!」
『そうでしょうそうでしょうとも!』
「女紙様は何もしてねーでしょ」
『ご指導ご鞭撻をいたしましたわ! さぁわたくしにも!』
「やさしさの押し売りはノ-センキューで!」
うるさいので唐揚げをぶっさした箸を紙に押し当てる。一瞬で唐揚げが消えた。
『さすが、わたくしがご指導しただけはあって極上でズッキューンなおいしさですわ! オイシサイズジャスティス! オイシサイズジャスティス! ですわ!』
【では我も食うのであるな】
「一気に食うとなくなるからほどほどに! アキホちゃんも食べないとなくなるから!」
「最期、最期くらい、食べても、許されるのですー」
『わたくしだって、負けませんわ!』
「食事はバトルじゃねえぇぇ!」
楽しく食べようぜ。