話が進まないときは酒である
酒は偉大なり
「あわわわ、あの、立ってくださいー」
「君が立ち上がらない限りは俺もこのままだ!」
「そんなー立ち上がったら食べられちゃいますー」
「五体投地の俺は食えないんだから安心して」
「立ったら食べるつもりなんだうわーーーん」
顔もあせない五体投地同士で何やってるんだ俺らは。
埒が明かないので先に五体投地をやめて体育座りになった。
恐怖からなのか性格なのか、アキホちゃんはぐずってばかりだ。五体投地のままシクシクしている。
「もうどうにもならないし、酒でも飲もうかな」
ごめん、酒クズですやけ酒です。
『お酒でぱぁっと流してしまうのですわ』
【つまみなら、そこの川で獲れるのであるな】
お酒と聞くとのってくるふたり。緩すぎて常識を忘れそうだ。でもね。
「いきなり出現した川で何が獲れるのよ。魚だっていないででしょ」
【ふははは、そろそろ跳ねるのであるな】
プリティちゃんが川の上流方向を指さした。川面がぐぐぐと盛り上がって、だぱーっと鰐が飛び上がった。直後、その鰐の背後にぬぼーっと鯉のように大きな口を開けた魚が出現。
あわれ鰐さんは一飲みにされてしまいました。メデタシメデタシ。
じゃねえ。
「ナンデワニ? ソレヲターベチャッタ、デッカイサカナナニ?」
【あれはグレートザキングナマズ、であるな】
『唐揚げにすると、ジューシィーでスパイシィーでルァリパッパァの極楽味って書いてあるのですわ』
女紙様が妙なアクセントで自慢げに語りだした。
「女紙様、それはなにに書かれているです? てかこの世界にも極楽ってあるのか」
『女性には隠す場所が多いのですわ。わたくしには、目次という、大事なところも、あるのですわ』
「ペライチな紙に隠す場所もねーでしょが」
ごくごく続きます