起きたドワーフっ子
ドワーフはヨウセイ
イイネ?
「…………」
首の後ろあたりに何か視線を感じる。しかも物を言いたげだけど言えないような気まずさがこってり煮込まれている感じの。振り向いて視線の元を見てみれば、メカクレドワーフ少女にたどり着く。便宜上ドワーフっ子と呼ぼう。
「ん、起きたのか」
「ひひひひゃいっ」
ひどく驚いて、いやおびえている様子に見える。あとずさりを始めたけど、スカートのすそを踏んだのか、仰向けに倒れた。
「……大丈夫?」
色々心配だなこの子。
「わわわ私は食べてもおいしくないです贅肉ばかりです」
「いや別に取って食わないから。今しがた食べたばっかりだし」
「ひぇぇぇぇすでに、すでにぃぃぃ」
「いやあの、別に君を食べるわけじゃなくってさ」
って声をかけても、この子、頭を抱えて丸くなっちゃった。水に流されてよほど危ない目にでもあったのかわからないけど、この反応はちょっとおかしいな。
【ふははは、そこなドワーフ、とりあえず暖かいココアでも飲んで落ち着くのであるな】
いつの間にかドワーフっ子の背後に回り込んでたプリティちゃんが、マグカップが乗ったお盆を片手にして立っていた。
【プリティちゃん特製ドラゴンズココアであるな。飲めば我のようにブレスも吐けるようになるのであるな】
「エ、ドラゴン? ココア? 押し付けら、ア、ハイ」
【ふははは、素直は美徳であるな】
素直というか、あれ、押し付けてるなって感じでココアが入っていると思われるマグカップがドワーフっ子に渡された。
どこから出したとかブレスが吐けるようになるとか突っ込みたいけどそこにふれると俺に飛び火してくるような気もしたから口をつぐんでおく。本能がSOSボタンを押したんだ、それに従おう。
「……これでも残機が減るのかよ」
ドワーフっ子を助けたときに減るのはいい。そんなのは覚悟完了してるからノープロブレムだ。だが突っ込みを躊躇しただけで減るのはさすがに納得がいかない。
ふふふ、考えすぎなのですわ、という女紙様の駄々洩れの文字が見える。
こう、声に出さないで文字化されるのが一番ホラーなんですがそれは。
パタパタっと続きます