酒盛り=送り出すこと
誤字報告ありがたく!
「伊能殿、さすがにそれは……」
「不謹慎すぎる!!」
エルフふたりから非難された。が、俺には俺の理論があるんだよ。ガラス窓を見て、俺は確信した。
「気持ちはわからなくもないが……外を見てくれ」
俺が外を指させば、ダンプさんとミキサちゃんが勢いよく振り返った。プリティちゃんと女紙様は、不動だった上になにやら笑みを浮かべてさえいた。
何をどこまで知ってやがるんだドチクショウめ。ちょっとくらい教えてくれたっていーだろうに。
「光が、上がってくる」
周囲をぐるっと囲むガラス窓の向こうには、蛍のような光が無数に飛び交っていた。
ぼんやりと優しい光は下からどんどん湧き上がり、その数は指数的に爆発していた。
「兄者!」
「父さん!」
ふたりが同時に叫んだ。
こっちを見ていたユニックさんを確認したんだろうなぁ。で、彼が光になって上がってきたんだろう。
すまんな、見なくってもわかるんだ。俺がそう想像したからな。
「世界樹ってのは、生まれ変わるためのもんなんだろ? じゃあ、あれだ。別れかもしれないけどユニックさんらの門出でもあるんだ。生まれ変わってまた会って飲もうって、酒で送ってやろうぜ」
見えてる光はエルフのだけじゃない。蟲とか魔獣とか樹木もあるんじゃねえかな?
ドンずまりであえいでいた、生きとし生けるものってくくり全部だ。
「ほらダンプさん、泣いてねーで飲めって」
俺はお手本とばかりに缶ビールを手に取って、勢いよくプルタブを開ける。大きく息を吸ってー
「ユニックさんの新たな門出に、カンパーイ!!」
その勢いのまま、缶ビールを飲み干した。サンゴー缶でもきついな。
カンっとテーブルに空き缶をたたきつけた瞬間、世界樹が震えた。
だらっと続きます