真実は闇の中
やーみーのーなーかー
あっけなく鉄扉は開いた。
「……やはり伊能殿が鍵であったか」
ダンプさんが息をのんだ。
扉の奥には通路が続いていて、コンクリート製の上り階段があるだけ。避難階段なのかも。
「階段、のぼりますかねー」
タワーが何階まであるか知らないけど。
「途中でエレベーターらしき柱があったから、そのうち展望デッキみたいなところにつくでしょ」
みな無言だ。コツコツっと足音だけが響く。
ひとりでしゃべってるのはさみしいから相槌くらいほしい。
階段は折り返しながら上へとの続いている。何度か折り返した先に、また鉄扉が現れた。
「迷うことはないな」
今度は鍵が開く音もせず、扉は開いた。
「ここは……」
内部を見たダンプさんが固まっている。
「まぁ、わかる。熊でも出そうだ」
中は、丸太小屋のような作りだった。壁も天井も、丸太を積んで、組んで作られている。外周と思われる面には大きなガラスが続いていて、そこからは空と森が見えていた。
「外見は鉄そのものだったのになー」
【見えているものが真実とは限らないのであるな】
「プリティちゃん、どゆこと?」
【我の目には今にも朽ち果てそうな空間にしか見えないのであるな】
「え」
天井から壁から、ぐるっと見回す。どう見ても丸太小屋ですありがとうございます。つるっつるに磨き上げられて、スケートでもできそうな滑らかさに見える。
【ほれ、そこがえれべーたーとやらの扉であるな】
プリティちゃんがとことこと歩いてとある壁の前に立った。ちょうどタワーの中心にあたるあたりだ。
【ぼたんとやらも、落ちる寸前であるな】
プリティちゃんが、木の板しか見えない床から、ひょいっと何かを拾い上げた。
にゃーんと続きます