彷徨えるもの
さまよう鎧ではありません
【世界樹にやってくる魂はすべてであるな】
プリティちゃんはダンプさんを、そして姪っ子ちゃんを見た。二人の表情は、固まったままだ。
【生命を持つものすべてを扱うのが世界樹であるな。そこに潜む魔獣も、そこな葉を食んでいる蟲も、そうであるな】
プリティちゃんが藪をにらむと、がさっと音が遠ざかっていった。
ダンプさんが苦い顔をして、ショックを受けてるっぽい。気が付かない=死だったりするからか。姪っ子ちゃんは手に持ってた鉈を落としちゃってるし。
「……そこに魔獣がいた?」
【ふははは、我のようなかわいいものであるな】
小さな赤いメイドちゃんは呵呵と笑う。プリティちゃん基準って。何がいたのやら恐ろしい。
「魔獣がいたとは……」
「父は、こうやって襲われたの?」
エルフのふたりの落ち込み様がすごい。俺のように残機があるわけじゃないしな。
この残機って、すっげーチートだ。
【あの魔獣も、死ねば世界樹に吸い寄せられ、何かしらに生まれ変わるのであるな】
「プリティ殿。それは真なのか?」
【ふははは、誠であるのな。そして、世界樹が機能していないのは、貴殿が想像しているよりも、もっと深刻なのであるな】
プリティちゃんは相変わらず呵呵と笑うだけだ。
「そーゆーことなので女紙様。ちょっと説明プリーズ」
『あら、あれは誰なのですわ?』
俺の手にがっちりホールドされている女紙様が何かを見つけたようだ。
ピンク色の逆モヒカンの、2メートルは余裕で越えてる巨躯の背中。
「兄者……」
ダンプさんが呻いた。
シリアスな感じですがポムっと続いたりします