表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/82

総身の知恵もこのくらい

考えても価値があるかは別問題

「あれ、もしかして俺って詰んじゃってる感じ?」

 缶ビール片手に我に返った。

 プリティちゃんも、ダンプさんも「いきなりなに言っちゃってんのコイツ」という顔で俺を見ていた。女紙様は、その、顔がないからね。

『伊能さまは、自由ですわ』

 かわいく首をかしげるように、紙が傾いた。

「自由……」

 自由ってやつは高くつくんだ、俺は知ってる。自由を求めて会社を辞めた後輩が、無職期間が長すぎて働く意欲を保てなくなってたんだ。夏休み明けに登校できなくなる小学生と似てるな。

 その後輩を最後に見たのは、生活保護の申請のために付き添った時だった。あれからどうしているのか。

「いまはいいけど、すぐに息詰まるってことか」

 自堕落は最高だ。でも、何もすることがなくなるんだ。刺激に対して鈍くなるのかな。

「酒にも飽きちゃうってことか。それともおぼれちまうのか」

 酒を楽しめないのってのは、ろくなもんじゃない。人生において5兆%の損失だ(当社比でな)

「のんきに笹食ってる場合じゃねぇ!」

 俺の心のパンダが叫んだ。

 いまやらないでいつやるんだ。いまでしょ。

「よし、ダンプさんの里に行くぞ!」

 俺が叫ぶと、ダンプさんがハッとした顔になる。

「い、いいのか」

「いかないと酒がまずくなる」

「……論理が飛躍しすぎて俺には理解が追いつかないが……助かるのではあるが、気が進まないのだろう?」

「ロスタイムな人生を楽しくするためには、こっちから動かないとダメなんだ!」

 勢いに任せて立ち上がり、テーブルをバーンとたたいた。

 俺の視界の隅っこの残機が、一つ増えた。

だらっと続きます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] よっしゃいったれ!٩(๑òωó๑)۶
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ