お出迎えは男の娘
出迎えは大事
オヒカエナスッテなので
新幹線エレベーターで残機を減らした俺は、天望回廊に向かっている。押しつぶされるGには慣れたけどスペランカーな俺は床に這うトカゲと化しているが。
「ふむ、すさまじい力を感じる。これが世界樹の力か……」
見上げるダンプさんは、何かに感動しているような顔だ。それ、たぶんGだから。エレベーターなんて知らないだろうしね。
このスカイツリー、厳密には実在しているスカイツリーとは違う。俺の思い違いか女神様の都合か、地表からいきなり最上階の天望回廊に行けるようになっている。
もちろん、その下の展望デッキもあるし、なんならお土産も売ってる。
エルフの里があるんだからエルフはたくさんいるんだろうし、ダンプさんに持って帰ってもらおうか。
『ついたのですわ』
扉が開いた瞬間に女紙様はまっさきに出てしまう。俺は大きく息を吐いて気合を入れ、ぐっと立ち上がった。
ダンプさんが何か言いたそうに見てきたけど、スルーさせてもらう。
「む」
出ようとして視線を外に向けたダンプさんが、短く唸った。
その視線の先には、4人用のテーブルにたくさん並べられた料理とつまみ、そしてそれを用意している、赤いメイド服に包まれた、JSくらいの女の子がいた。
【うむ、帰ったのであるな、お疲れ様なのであるな】
その女の子が鷹揚な挨拶で迎えてくれた。
「……幼子、いや違うな」
ダンプさんが、すっとクロスボウを構えた。
【ふははは、我にそのようなものは効かぬのであるな。人形態では致命傷ではあるがな】
「プリティちゃんお疲れ様、有効打になるんじゃ煽っちゃダメじゃん」
【ふははは、我にも威厳があるのであるな。割と重要なのであるな。そこのダメ紙には理解できないものであるな】
「あ、ダンプさん、害はないのでスルーしてくださいね」
クロスボウを構えたままフリーズしているダンプさんに声だけはかけた。
だらっと続きます