この世界の住人は
世界は似たようなもの
「あの、だいぶ日も陰ってきたので、中で話をしません?」
ぼちぼち陽が沈んで真っ暗になる。ここには街灯なんてないから、スカイツリーの中に入らないと何もできなくなるんだ。
「世界樹の中に入るだと?」
明らかに動揺しているダンプさん。ぎょっとして目を大きくしているのがよくわかる。
ダンプさんの言う世界樹ってのは、やっぱり木なんだろうかね。
「えぇ入れますよ」
エレベーターのボタンをポチットナすると、扉は音もなく開く。
シュッとナニカが俺の横を通り過ぎ、エレベーターの奥に突き刺さった。女紙様は俺が捕まえたままでよかった。また刺されて変なことを口走られても困る。
「……えっと、壊れちゃうかもだから、やめてほしいなぁ」
世界樹って、敵扱いなの?
それとも危険性でもあるの?
振り返り、クロスボウを構えているダンプさんに声をかけた。そしてさっさと中に入ってしまう。
「ダンプさんも入ってください」
「……しかし、世界樹の中など畏れ多い」
「ささやかですが、歓迎のお酒なども――」
「よし行こう!」
ダンプさんはマッハで入ってきた。
この世界には酒カスしかいねえんだ、絶対。
「扉がしまりまーす、ご注意くださいー」
案内嬢役の俺。
なぜか静かにしている女紙様といえば、おっさけーおっさけーおっさけーのじっかんー、と紙の上で文字が踊っていた。比喩ではなく、踊っていたんだ。盆踊りみたくやぐらを囲うように、だ。
この世界には酒カスしかいねえんだ、絶対。
俺を含めてな。
だらっと続きます