平穏な生活は続かない
新しい章ですー
この地の果てにきて、もう2週間たった。特に変わったことはないけど、ちょっとしたことで残機が減るのでいつか心不全になるんじゃないかと思ってる。今の残機は90。ちょっとタワーの周囲を散歩したら減ってた。何が原因なのかさっぱり。
世界樹のお役目をクリアしてから次のお役目がないので、そろそろ残機を補充したい。
初日に襲撃してきたドラゴンのプリティちゃんは男の娘。世界樹になってしまったスカイツリーの天空回廊の上をねぐらと決めたようで、毎日酒をせびってくる。要望を聞いているんだから残機が増えてもいいと思うんだ。
『伊能さまー、もう日も沈みますわ。上に行くのですわー』
「上に行くたびに残機が減るんだよね。下りでも減るしさ。新幹線エレベーターって直せないの?」
『速くする改良なら可能ですわ』
「残機の減りが早くなりそうなので聞かなかったことにしてください」
いっそ家でも建てようか。庭付きで畑にしちゃうのもいいな。
『森の魔獣に襲われて、より早く残機が減るのですわ』
「散歩で残機が減った理由がそれじゃん! てかその魔獣設定、俺は聞いてないんだけど」
迂闊に散歩もできないじゃん。タスケテ。
絶望でまたアルコールに沈むか、と考えてた矢先。俺の視界のど真ん中に
お役目発生
②エルフ襲撃、がんばろう
③洪水発生、ドワーフもいるよ!
④ネコと和解せよ
と表示された。
世界樹が確か①だったから、これ連番なんだね。なんかゲームチックで、まぁ、酒が飲めれば別にいーんだけどさ。
なんだろう、一番穏便そうな④を選びたいんだけど、そのネコってのがわざわざカタカナなあたり悪意しか読み取れないんだ。
『伊能さま、どうなされたのですわ? あら、何か来たのですわ』
矢の影とターンという音と一緒に、女紙様が世界樹のエレベーターに縫い付けられた。
だらだら運行しゅっぽっぽー