女神様(自称)の手紙
だらだら行きます
隕石めいた紙が落ちてきてから十分ほど経過したあたりで、件の紙を指で突っついてみた。
「……よし、触れるくらいにはなってるな」
人肌ぬる燗くらいの紙を拾い上げる。
えらく達筆で、達筆すぎて読みにくい文字がA4ほどの紙に書かれていた。
「残念ながら過労でお亡くなりになりました。人間関係に疲れてるようだったので地の果ての森の管理人にしてみました。思う存分ボッチを堪能して下さい。あ、生きていけるようになんでも創造できる体にしたけど体力1のスペランカー体質ですぐに死ぬから気をつけてねby美しすぎて文字化できない女神様」
うん、いろいろツッコミどころが多くて困る。
しかしな。
「……お亡くなりになったのか、俺」
まぁ、思い当たる節は多い。
125連勤でようやく終電前の電車に乗れたもんな。過労ってのはあってんな。
労基はなにしてんだって言いたいけど労基もブラックだっていうしなー。取り締まる側が倒れてたら取り締まれないよ、ジッサイ。
「人間関係なぁ。クソ上司とお局様にいいようにやられてたってのはあるけど、俺の能力が足りないってのもあってなー。同僚には迷惑かけっぱなしだったし、俺のほうが人間関係をおかしくしてたかもな」
ま、だからボッチだったんだけどさ!
いいよ、それで職場はアットホ-ムだったから。
「にしたって地の果てとか、今どきの地球にそんな場所はねーぞ?」
もう人間がいけないところは深海くらいなんだよ。あそこは人間じゃいけねーって場所だ。行きたくもないけど。
「なんでも創造できるとか、体力1とか、あれか、ラノベだかのアレか?」
異世界転移とか転生とか。
ブラックな勤め先で本なんて忙しくて読む時間はないけど、その手の話を耳に挟んだくらいはある。
現代のチートで無双だとか夢があるようで夢がない話だ。そんな力は現実でほしかったよ。
レッツゴーだらだら