しめやかにお酒
しめやかです
「というわけで、社畜無害な伊能ですよろしくお願いいたします」
流れるような動作で名刺を出しかけた俺。ジャージには内ポケットが無いのでそこで我に返れた。
しみついた習性ってコワイ。
【我はプリチーでプリンスな男の娘であるな。真名は教えられぬのでプリティと呼ぶのであるな】
『わたくしは美しすぎて文字などでは表現できない女神様ですわ。名前はひ・み・つ、ですわ』
「んーーなんか名前も教えてくれないし怪しげな単語が多かったけど問題なく酒はうまい!」
酒が入れば酒カスはおとなしくかつ仲良くなる。アルコールは偉大だ。
【いや、驚いたのであるな。何もなかった場所に、いきなり世界樹が現れたのであるからな】
宴も進んで空き缶が山になっている中、だいぶ目が座ったプリティさんが、そうこぼした。
「ひょ? 世界樹?」
聞いたことがあるようなないような。子供のころにそんなゲームがあったかもしれない。ちなみに、内容は覚えてない。
『あら、これ、世界樹なのですわ?』
「女紙様、あーたが知らんのかい。だれか説明プリーズ」
【世界樹は、雲を突き抜ける高さの銀色の幹と不思議に発光するものと、決まっておるのであるな】
「木って幹が茶色でしょ? そこらのウッドもウッディーな色してるじゃん」
俺は周囲の森を指さした。どれもこれもウッディーウッディーしてる。間違っても保安官じゃない。
【世界樹は木ではなく魂のヤドリギなのであるな】
やっぱり木じゃん。
だらっと続きます