都合の良い世界
ご都合主義万歳
「あんなもんぶっかけちゃダメでしょよ」
あれはしつこい汚れの除去とかに使うんであって、浴びせていいもんじゃない。のんじゃダメ、混ぜるのものダメ。
『あの世界とこの世界では、物質の効果が違うのですわ!』
なんと都合のいい世界だ。でもね。
「俺、酒のんでよっぱらったけど」
『アルコールは別腹ですわ!』
「すっごいご都合な世界だね!」
『もちろんですわ、伊能さまがのんびり過ごせるように厳選した世界ですわ!』
あーた、さっきこの世界のこと知らなかったよね。知らなかったよね?
とはいえご都合主義な世界は俺にとっても都合がよいのだろう。たぶん。
バキバキメキドッシーン。
頭だけのぞかせたドラゴンが、地面に倒れてしまった。ちょっと本気でやばいのかも。
「さっさと出すか。えーっとカ〇キラーさん、たくさんでてきて!」
言葉を発した瞬間、俺の足元に〇ビキラーがどっさり塵ツモな山になって、俺の腰まで埋まった。
一人暮らしのときは、たまーにお世話になったなぁ。掃除する暇があれば寝てたもん。
『さすが伊能さまですわ。さぁ、どばっとやってしまうのですわ』
ばっさばっさと女紙様が煽ってくる。
ご都合主義的な世界なら、俺のやりたいようにやるのが正解なんだろうかな。知ってる人もいないし、誰に迷惑がかかるわけでなし。そうね、知り合いもいないしな。
な-んてちょっぴりさみしくも――
「ならねーんだなこれが」
手近にあった赤いパッケージのボトルを取りふたを開け、ドラゴンに向かって全力で投げた。
だらっときままに続きます