ご無体なシステム
むたいなー
エレベーターで地上に降りた。あの鉄の椅子には4点式のシートベルトがあって、俺は縛られたまま、マッハで降りやがった。
地表までわずか3秒。死ぬかと思ったらやっぱり死んでた。女紙様に言われた残機は、俺の視界のすみっっっっこのほうに表示されてた。
残機は28。
スカイツリーに14回上り下りすると、死にきるらしい。
『残機がなくなると完全消滅ですわ。その前に善い行いをして残機を増やすのですわ』
女紙様はこう言うが。
「善い行いWhat。何のための、誰のための?」
『先ほども言いましたが、伊能さまはこの森の管理者なのですわ。管理行為をすると善行と判断されるのですわ』
「……それって、誰に判断されるの?」
『もちろんわたくしですわ、えっへん!』
「あんたかよ!」
俺と一緒にいる時点で無限1UPしてほしいんだけど!
くそ、俺から離れないというか、何が何でも家出をやる気るつもりだこの駄女紙様。
『そんなことよりも、ドラゴンですわ』
「俺の命はそんなことではなくってさ、結構大事なのよ? 死にきっちゃったら美味しいお酒が飲めないからね?」
『わたくしがつきっきりで、そんなことはあり得ないのですわ!』
お酒お酒~♪って感じの鼻歌っぽい文字が続いてた。
誰だよこの人を女神にした人は……