ブッチギリジャンキー
ちょっと忙しくなります
女紙様が自身の紙を震わせてラッパの音真似をすると、アブサンたちは一斉にドラゴンを指さした。
『さ、伊能さま、ご指示をですわ』
「ほぇ?」
いきなりふられて情けない声が出た。
『伊能さまが管理者なのですわ。だ・か・ら、ご指示ですわ。ゴー!でも焼き払え!でもなんでもいいのですわ』
さっさと終わらせてお酒タイムにするのですわ、と紙には続いている。
アル中な女神様かよ。まぁ俺も飲みたいけど。
「え、えっと、圧倒的じゃないかわが軍は。戦いは数だぜ」
『早くするのですわ』
とっさにそんなのは出ないってばさ。
んー、思いつかない。
「う、うてー」
どう聞いても勇ましくはない、不協和音ビブラートが天空回廊に響く。
でもアブサンたちは砲撃を開始した。
銃身をピストンのように伸縮させながら、対空砲がうなりを上げていく。
ぽんぽんぽんぽん。
ガラス越しに聞こえるのはこんな音だ。
「かわいらしい音だなこれ。おもちゃかよ」
『でもちゃんと砲撃なのですわ』
女紙様が言う通り、ドラゴンのすぐ近くで爆発が起き始めている。ドラゴンの飛行経路の先読みで撃っているけど、ドラゴンも上へ下へとルートを読まれないように動き始めた。
「対空砲の攻撃なんて食らったことはないだろうし、怖いよなー。このまま逃げてくれれば――」
『たたき落とすのですわ! そこ、ちゃんと狙うのですわ! 左舷、弾幕薄いのですわ!』
「――ドラゴンさん逃げてー」
アル中でバトルジャンキーとか、ストレスで天元突破しちゃったのかなこの女紙様は。
ちょっと書かないといけないブツがあるのでそっち優先で